1. 「琉球の横顔」 アーティスト紹介:久場とよ

「琉球の横顔」 アーティスト紹介:久場とよ

久場とよ Toyo KUBA
1921年、沖縄県那覇市生まれ。洋画家の名渡山愛順が勤める沖縄県立第二高等女学校へ入学、油絵の指導を受ける。恩師のすすめで1937年に《竜舌蘭のある海辺》を光風会第24回展へ出品、入選を果たす。東京美術学校への進学を希望するが、父に反対されて東京女子薬学専門学校を卒業後、戦後は薬剤師として勤める傍ら、1949年に開催された沖展第1回展への出品をはじめ、絵画制作をこつこつと続けた。1974年には沖縄女流美術家協会の設立に寄与し、以後21年もの長きにわたり会長を務めた。
沖縄県立第二高等女学校で同窓生の、山元文子と共に、戦後女性美術の草分け的存在となった。1997年には沖縄タイムス文化賞を、1991年・2000年には沖縄県文化功労者表彰を、そして2006年には文部科学省地域文化振興賞を、それぞれ受賞した。


久場とよ《古都幻想》1994年
Toyo KUBA, Fantasy of Ancient city, 1994

【作品解説】
久場とよは、琉装などの人物の描写を通して、郷愁を感じさせる画風で知られている。生涯を通じて恩師であった、名渡山愛順からの影響を受けてはいるものの、むしろ久場の描く人物は、立体を構成するオブジェのような、客観的な人体にも映る。
久場は、父や婚約者までも戦争で亡くし、ある意味で生死について達観した考え方を持っていた。クリスチャンでもあったので、「お召しが来るまでは」と、日々を絵画制作への熱意のままに生きた。またそれだけではなく、新聞を熱心に読み、90歳を過ぎてからはインターネットにも親しんでいた。
久場の作品を前にした時、私は、時には叱られ、また時には優しく接してもらった故人の人柄をしのぶとともに、久場が人生を賭けた絵画の重さを感じずにはいられない。 

「琉球の横顔」出品作家

池原清子久場とよ中島イソ子西村立子上原よし砂川喜代石垣克子ローラ・キナエミリー・ハナコ・モモハラ喜屋武千恵山川さやか遠藤薫胡宮ゆきな泉川のはな寺田健人仁添まりな

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