1. 館長あいさつ

館長あいさつ

 新年度にあたり、一言ごあいさつ申し上げます。

 昨年度は、新型コロナウイルス感染症に振り回された一年でした。2度の臨時休館、多くのイベントの中止、延期、変更等々を余儀なくされました。かつて経験したことのない異常事態でしたが、そうした中でも、サーモグラフィーの設置や3密回避の人数制限など新型コロナ対策をとった上で、一部を除き予定の展覧会を開催することが出来ました。来館者の皆様のご協力あってのことと感謝申し上げます。

 それにしても新型コロナ感染症は、まさしくパンデミックで、WHOなどの資料によると、2021年3月末現在、世界200余の国と地域のうち、感染者ゼロの国は、パラオなど南太平洋の5つの島国のみのようです。感染力の強さもあるでしょうが、人々の濃密な往来の結果であり、良くも悪くも世界は一つを実感させられます。

 そんな中、早々とコロナ感染を押さえ込んだとされる中国では、4月5日から3日間、清明節の連休ということで、1億人余の大移動が予測されると報じられています。清明節は24節季の一つで春分を経て天地が清く澄み渡った季節で、人々は祖先の墓参りに出かけました。沖縄も清明(シーミー、御清明=ウシーミー)シーズンに突入しました。が昨年同様親族集っての親睦は無理で家族のみの墓参りとなります。

 ところで、沖縄の清明祭は1730年代に中国からの渡来人の末裔である久米村人によって導入されました。1768年に王家の墓陵の玉陵(たまうどぅん)でも行われるようになり、首里、那覇の士族層からやがて庶民層へも広がっていきました。19世紀前半、名護の地方役人の記録に「今後は清明祭をやるので、16日祭(ジュウルクニチー、旧正月16日)は掃除ばかりで軽くする云々」とあります。古くから行われていた祖先祭祀の墓前祭である16日祭が清明祭へ取って代わられていったことが分かります。それでも山原や宮古、八重山での清明祭の受容は一部の役人層のみで、16日祭が今でも圧倒的です。中央文化の受容と伝統的慣習のぶつかり合い、興味深いですね。

 さて、今年度の展覧会ですが、博物館は5月の「新収蔵品展」を皮切りに、7月に「みんなの進化展」、10月に「海とジュゴンと貝塚人展」、美術館は昨年度から継続の「石川真生展」が6月まで、ついで11月から「琉球の横顔-描かれた〈私〉からの出発-展」、コレクションギャラリーでは7月「川平惠造展」、12月に「Reflections- 時代を見る眼-展」を開催する予定です。

 新型コロナ感染症の収束は未だ見通せず、withコロナの暮らしが続きそうですが、今年度もしっかり対策をとりながら、沖縄の文化、芸術の魅力を発信していきますので、多くの皆様のご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

令和3年4月
沖縄県立博物館・美術館
館長 田名 真之

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