1. 【国際博物館の日2021】海外調査を見据えて

【国際博物館の日2021】海外調査を見据えて

最終更新日:2021.05.22

 令和3年度を迎えてなお、新型コロナウイルスの感染拡大が収まりません。変異株も猛威を振い、世界中で広がり続けています。
 私たちも、密集を避ける、人との接触機会を減らす、不要不急の往来をしない等、感染リスクを減らす行動をとって久しくなります。特に海外渡航は、現在もなお原則禁止とされ、全面解除の見通しは立っていません。
 沖縄県立博物館・美術館では、令和2年度に「在外琉球王国文化財里帰り事業」が立ち上がりました。沖縄県が進めている「首里城復興基本方針」の関連として、海外、特にアメリカに所在している琉球ゆかりの資料を当館の学芸員が調査・研究し、琉球文化の価値を体系的に高めるとともに、将来的に展覧会等の開催に結び付けることを目的としています。しかし、コロナ禍で現地調査を行えず、令和2年度の事業実施は断念せざるをえませんでした。
 平成2~ 11 年度にかけて沖縄県教育委員会が実施した海外の沖縄関連資料の所在調査では、アメリカで1,041 件、ヨーロッパで470 件の資料が確認されました。これらの調査成果をもとに、1995 年に当館が開催した戦後50 周年記念特別展「甦る沖縄」ではアメリカ在の沖縄関連文化財を公開し、その一部が県に寄贈されました。また、2016 年には第6回世界のウチナーンチュ大会関連催事として特別企画移民資料展を開催し、終了後、展示された陶磁器や漆器等が県に寄贈されたこともありました。ただし、海外での資料の所在が確認されたものの、詳細な調査・研究が十分でない課題も残っています。
 モノ資料を調査・研究する場合、実物を実見し、その特徴を読み取る必要があります。漆器や染織資料等の質感、細部の法量等も、写真や映像では得難いものです。新型コロナウイルスの感染状況によりますが、海外渡航が可能になり次第、令和3年度も引き続き計画している本事業を実施できるよう、情報収集や先方との連絡体制等を整え、調査に備えています。
 

第6回世界のウチナーンチュ大会 博物館特別企画移民資料展
「ウチナーンチュの世越の肝心(ユークィティヌチムグクル)」  リーフレット(英語版)
歴史担当 主任学芸員 崎原恭子

歴史担当 主任学芸員 崎原恭子

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