1. 奇跡の岩石展 ~コロナ禍とある少年の涙に、、、~

奇跡の岩石展 ~コロナ禍とある少年の涙に、、、~

最終更新日:2020.12.09

 特別展「岩石」~石ころから見える地球のダイナミズム~は、7月21日からのプレイベント、土橋浩一氏の化石展から始まり、9月8日開会、11月15日までの全会期と、11月21日の伊平屋村のジオツアーまでの関連催事を無事に終えることができました。
  
7/21~10/25 プレイベント 土橋浩一氏の化石展(エントランスホール)

 
展示解説会(9/19, 10/3,10/17,11/3)と、密を回避するため急遽、開設した学芸員への質問コーナー

   
10/3 手彫り石獅子作りワークショップ(スタジオde-jin の若山夫妻と)
 
   
11/3 沖縄の土で作るクレヨンで絵を書こう(沖縄美ら島財団 保久村智恵氏と)
 
   
10/31 石と友達になろう 沖縄の石割り体験と黒曜石のペンダント作り


11/15 沖縄島の岩石と地形を知るワークショップ(盲学校の生徒さんと)

  
文化講座(講演会)
9/19  神谷厚昭氏(左)「石や化石からわかる島の生い立ち」
10/17  福井県立恐竜博物館  寺田和雄氏(右)「恐竜が見た森―琉球列島とつながること」
 
   
11/7 沖縄本島北部の自然観察へ行こう! 嘉津宇岳 11/7(土)(学芸員講座1 生物担当:菊川学芸員と)

   
11/1 まちなかジオツアー(博物館屋外展示と博物館周辺)11/1(日)午前

   
11/21 伊平屋村ジオツアー(伊平屋村教育委員会と共催、生物担当:菊川学芸員、伊平屋村教育委員会の嘉手納知子主事と)
 
 開会は、コロナ第2波が終息し沖縄県の緊急事態宣言が解除され、久しぶりに開館した直後のことでした。今思えば奇跡です。コロナウイルスが流行り始めた春頃から、先が見えない中、様々な面で右往左往し、ずっと開催できるのか、また開催していいものかと、大変苦慮してきました。無事会期を終えることができた現在、本当に嬉しく思います。
 
 展示は、県内外の地学関係者と、当館の全分野の学芸員の協力をあおぎ、様々な分野の方に観覧してもらいたい思いから、幅広い内容としました。また、特に子ども達に石の面白さや楽しさ、大切さを伝えたいという思いで企画しました。
展示の詳細は岩石展のページ

 
展示風景(第3章)
 
 しかし、コロナ禍のため制約も数多くありました。様々なコロナ対策を実施するとともに、開会式は行わず、開会告知のため、マスコミ向けの内覧会のみを開催しました。当初、来館者に手に取って、触ってもらいたいと考えていたハンズオン標本や資料は、感染防止のため触らせることも出来きません。お客様には来館していただけるのか、開会するまでこの内容で様々な分野の方、そして子ども達にこちらが意図することが伝わるのか正直なところ大変不安でした。
 
 開会直後、観覧者はそれ程、多くありませんでしたが、広報担当が新たに取り入れた動画配信や、多くのマスコミにも取り上げられたこともあり、最終的には予想以上の来場者がありました。そして多くの皆様から貴重なご意見ご感想を多数いただきました。特に多かったのが、子ども達からの声でした。私自身嬉しく元気をいただきました。


9/19  しゃべる石(琉球石灰岩姫)に見入る親子
 
 最終日には、閉館間際まで本当に多くの方にご観覧いただきました。その中には私が知っている限りで最多入場10回の小学校4年生の男の子がいました。心の底から石が好きそうな純粋な表情でひょっこりと来館してくれる彼です。閉館時間を過ぎ、岩石展との別れを惜しむような涙目をした表情の彼から振り絞るように出た言葉は、「岩石展が終わるなんて、、、」。一緒に記念撮影をして岩石展が終わっても、再会を約束しました。

11/15 展示会最終日 石が大好きな少年と
 
 4年前に岩石展を開催すると宣言した日から、最近のコロナ禍による苦労まで報われた瞬間でした。
 
 岩石展が閉会した現在、借用資料の返却作業と岩石標本の整理を行なっています。今後はコロナの完全終息を願いつつ、ポストイベントとして来年2021年1月から3月まで月一回のイベントを計画中です。開催が決まりましたらホームページにて告知いたしますのでぜひご参加ください。
 
 また岩石展での展示標本や資料、制作した映像等は少しずつ常設展示室やふれあい体験室にて展示、または当館ホームページ内の岩石鉱物図鑑に掲載する予定です。ぜひこちらもご覧いただけたら幸いです。

  
ふれあい体験室ワークショップ 天然石のブレスレット作り(沖縄美ら島財団 比嘉麻乃氏による)
 

フォトスポットで記念撮影をする家族


岩石展コラボスィーツ 堆積岩(礫岩)パウンドケーキ(当館カフェ)
 
 最後になりますが、ご観覧いただきたましたたくさんの皆様、特別展「岩石」と関連催事の開催にあたり、多大なご協力を賜りました関係各位、岩石標本の収集・調査にご協力下さった県内離島の皆様、岩石展の開催を裏側から支えていただきました全ての職員、私の家族に心より感謝いたします。
 

主任学芸員 宇佐美 賢

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