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水面いっぱいに広がる緑色の葉。その間から、睡蓮の花が顔をのぞかせています。深緑の葉と、鮮やかな花の色との対比が、花の美しさを印象的に浮かび上がらせています。
作者の宮城与徳は、1903年に沖縄で生まれました。16歳のときにアメリカへ渡り、絵を学びました。しかし、移民差別の現実を目の当たりにし、次第に社会主義運動に傾倒していきました。日本に戻ったのち、リヒャルト・ゾルゲらとともに諜報活動に関わり、逮捕され、獄中で亡くなりました。
この作品は、宮城が日本に戻り、諜報活動に関わっていた頃に描かれた一枚です。
泥の中から清らかな花を咲かせる睡蓮。波乱の人生を歩んだ宮城は、どのような思いでこの絵を描いたのでしょうか。