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濃い青色の衣に金色の帯を締めた男性。堂々と立つ姿や、立派に蓄えられた髭から、威厳が感じられます。
その後ろに立つ女性は、赤い格子模様の着物の上に、菊や唐草模様があしらわれた華やかな着物を羽織っています。控えめに寄り添う姿からは、可憐な印象を受けます。
二人は近いようでいて、目線はそれぞれ別の方向を向き、どこか距離を感じさせます。
左上の漢詩には、初夏の穏やかな風の中で、かつての恋の記憶を思い出し、それが夢のように儚かったと気付く、そんな女性の切ない心情が詠まれています。
絵と詩を合わせて見ると、物語の一場面を切り取ったかのような、情感が漂っています。