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粘土で形作り、それを石膏で型取りして制作された彫刻作品です。
近づいて見てみると、粘土を指で押し当てたときについた玉那覇の指紋や、ヘラで引いたときにできた粘土の盛り上がりなどが、整えられることなくそのまま残っています。
そのため、表面がゴツゴツして荒々しく感じられます。
しかし少し離れて全体を見た時、耳を寝かせて目を細めたような兎の姿は、柔らかく、穏やかな印象を受けます。
玉那覇は「表面的な形をただ似せようとしたのは彫刻ではない。ものの構造を捉え、その表れとして表面がある。」と言っていたといいます。
この作品からも、そんな玉那覇の、ものの本質を捉えようとした姿勢が感じられます。