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崩れかけた石垣と薄暗い空。「廃虚」というタイトルが示すように、辺り一面、草が生い茂り、長らく誰も訪れていないのが分かります。
画面いっぱいに描かれた石垣からは、重苦しさや冷たさが伝わってきます。
奥に続くのは草原、それとも海でしょうか?
小さなヤドカリはこちらをじっと見つめているようにも見えます。
子どもの頃から絵が得意だった與那覇は、1933年石垣島で生まれました。独学で絵画技法を習得し、戦後はコザで肖像画を描き生活していました。
まるで写真のようにリアルな描写で、当時人気のあった作家の一人です。
1969年にアメリカで個展を開催したあとは、赤瓦の風景や石垣、琉装の舞踊家など、沖縄を題材にした作品を多く手掛けました。
さらに陶芸家としても活躍し、絵画、陶芸ともに精力的に活動を続け、数々の賞を受賞しました。