椅子に腰掛け、やや緊張した面持ちで正面を見据える高齢の女性。紺色の着物を着て、白髪を沖縄の伝統的な髪型に結っています。
日焼けした浅黒い肌や、顔に刻まれたシワ、肘掛けに添えられた両手の骨張った様子から、女性の逞しさや、これまで過ごしてきた歳月が感じられます。
一方で、垂れたまぶたの奥の瞳は包容力に満ち、温かい印象を受けます。
「老母像」と題されたこの作品は、玉那覇の育ての母親をモデルに描かれました。
玉那覇は大切に育ててくれた育ての母を、実母以上に慕っていたといいます。
彫刻家でもあった玉那覇は、同じ「老母像」と題した彫刻作品も制作しています。