ナレーター:大西風海(沖縄県立那覇国際高等学校放送部)
素早い筆づかいで塗られた黒い色。ところどころに赤茶色が見えます。
油絵の具で描かれた絵ですが、まるで水墨画のように薄く色が塗られ、ぼかされたように色が広がっています。
宮城は、油絵だけではなく、水彩画や水墨画の技法も究めていました。この作品は、宮城ならではの作品といえます。
作品タイトルとなっている「破船」とは、座礁したり荒波などにより壊れた船のことです。
沖縄の海岸には、1960年代ころまで戦争で破壊された船がいくつも残されていました。戦争の名残ともいえる破船を描いたこの作品は、どこか物寂しさが感じられます。