白い画面を縦や横、斜めに走るいくつもの線。その線のひとつひとつに、緊張感が漂っています。
それらの線は、滑走路に待機する軍用機を表し、そして今まさに飛び立ったジェット機の姿や、その爆音や空気の振動までをも表しているかのようです。
背景の白は単なる白ではなく、黄色や赤、青といった色を帯びて複雑な色合いとなり、画面に深みを与えています。
安谷屋は、懐古的な沖縄の姿ではなく、道路の真っ白な直線や、基地のフェンス、鉄塔といった、現実に目の前にあるもので沖縄の現状を表現しました。
この作品は、伝統的な表現から脱却し、現代的な新しい表現を追い求めた安谷屋の代表作の一つです。