「復帰」の前後には、それまでの絵画の概念にとらわれない新たな美術を目指す、前衛美術の動きがありました。キャンバスに絵具をのせ、完成したら額縁をつけるような、それまでのお決まりの絵画形式からは離れた作品が制作されていきます。
例えば、画材に漆喰などの建築資材を用いたり、廃材や米軍からの流出品を使ったり、あるいは室内から飛び出して公園や湖の上で作品を展示するような活動がありました。
こうした作品は、大量消費社会や環境問題、「復帰」にまつわる世の中の動き、ベトナム戦争に派兵している米軍基地の存在など、様々な沖縄の「現状」に向き合って表現されたものでした。