最終更新日:2022.12.21
2022年11月15日(火)から博物館常設展示室内の美術工芸と歴史の部門展示室で、1424年~1867年の444年間にわたって中国や朝鮮、東南アジア諸国とやりとりした琉球王国の外交文書集である『歴代宝案』をテーマとした特別展示が始まりました。本展は沖縄県教育委員会が主催(担当:文化財課史料編集班の歴代宝案チーム)で、当館は共催(担当:美術工芸及び歴史分野)という形式で開催しています。
県教育委員会は1989年から『歴代宝案』の編集・刊行事業を行い、33年を経た今年3月に校訂本・訳注本全30冊が刊行されるという、大きな節目を迎えました。県教育委員会ではこれを記念して、特別展示だけでなく、連続講座やシンポジウム等も企画しました。
今回の特別展示は、大きく2つのテーマを柱としています。1つ目は、15~19世紀にわたる『歴代宝案』の内容とともに、東アジアとその周辺で交易の要衝として栄えた琉球の状況を、『歴代宝案』の記録とモノ資料とであわせて展示していることです。2つ目は、原本が失われた『歴代宝案』の写真・写本を展示し、それらに基づいて33年の歳月をかけて復元した県教育委員会の事業を紹介していることです。諸本の突き合わせや監修者の厳しいチェック等、赤字がぎっしりと原稿に書き込まれている様子をみると、難解な漢文で書かれた原文を復元し、さらに読み下し文にして注釈を付す作業はとても大変であることが実感できます。
本展の見どころは、県教育委員会が公開している「琉球王国交流史デジタルアーカイブ」でも紹介されております(下記QRコード)。当館の博物館常設展示室で紹介している琉球王国時代の海外交易をより詳しく知る機会にもなると思いますので、展示期間中、ぜひご来館ください!
主任学芸員 崎原恭子