新型コロナウイルスの感染拡大によって不要不急の外出自粛が求められる中、村落の年中行事はどのように行われているのでしょうか。2021年の冬、沖縄本島中部のうるま市勝連にある南風原(はえばる)村落で調査を実施することができました。
南風原村落では毎年旧暦12月7日に家族や村人の健康を願う儀礼が行われています。2021年も感染対策をした上で、シマクサラーという行事が行われました。シマクサラーは、村からフーチ(風気、伝染病、はやり風邪)を払うことを目的に行われます。村落の境界11か所に豚の三枚肉を挟み込んだ左縄(左撚りの縄)を張ることで、フーチが村に入るのを防ぐとともに払うのです。公民館役員の方々は、新型コロナウイルスから村落の人びとを守りたいとの願いを込めて、村落を囲むように左縄を張っていました。
このように、コロナ禍にあっても人びとの健康を願う行事は変わらず執り行われています。そのような人びとの生き方を記録するのも、博物館の役割のひとつです。
写真1 左縄と竹をトラックに積み込み出発
写真2 左縄の中央に豚の三枚肉を挟み込む
写真3 竹竿に左縄を括りつける
写真4 竹竿を立て、固定する
写真5 村落の境界に左縄を張る
民俗担当 学芸員 阿利よし乃
民俗担当 学芸員 阿利よし乃