1. グスクの原点について

グスクの原点について

最終更新日:2018.08.03

 今年(2018年)4月14日に開催された学芸員講座についての内容とその時に考えたことを少し触れていきたいと思います。「沖縄の城、その起源について-グスクの意味を考える-」という表題で1時間ほどお話をさせていただきました。多くの方々が参加していただいた一方で、部屋が満員になったことから、止む無く踵を返した方々もいらっしゃったことから、主に拝聴できなかった方々にこのコラムを見ていただければと思います。
 1960年代から80年代初めにかけて、グスクの意味について多くの研究者がアプローチしてきました。主にその語源や出土遺物からの検証でしたが、ここ近年において石積みなどの遺構から検証ができるほどに発掘調査事例が増えてきたことから、グスクそのものの用途について検証していきました。
 沖縄本島及びその周辺離島におけるグスクは丘陵に立地し、石積みを配置しているグスクが14世紀中頃から多く出現してきます。この条件に見合う遺跡で古く遡る事例が読谷村の大湾で近年、確認されました。その遺跡は大湾アガリヌウガン遺跡で11世紀後半から13世紀にかけて機能した遺跡です。野面積みの石積みや柵列と思われる柱穴が検出されています。また、丘陵上には小規模な掘立柱建物跡が検出されています。このような遺跡はかなり稀であり、この時期における遺跡の多くは海岸近くの段丘上に立地しています。しかし、この時期において例外的な事例となる大湾アガリヌウガン遺跡のような遺跡は13世紀頃から増えていきます。
 次回は独立丘陵上に位置する13世紀から14世紀にかけての遺跡を見ていくことにします。
4月の学芸員講座風景
大湾アガリヌウガン遺跡遠景


    
            
 

 

主任学芸員:山本 正昭

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