最終更新日:2016.09.28
平成28年11月15日(火)より、博物館特別展「港川人の時代とその後-琉球弧をめぐる人類史の起源と展開」がスタートします。これにさきだって、9月20日(火)にはサキタリ洞遺跡の調査研究成果に関する発表と公開が行われました。今回の発表内容は以下の通りです。
1)沖縄島における旧石器人の継続的生活(3万5千年前~1万3千年前)
サキタリ洞遺跡から、新たに約3万年前の人骨(幼児の部分骨)が確認され、旧石器人の食料となったと考えられるモクズガニやカワニナ、焼けたシカ化石などが3万5千年前以降の地層から出土することから、旧石器人が3万5千~3万年前には沖縄島に渡来していたことが示されました。
2)動物資源の季節的利用の解明
サキタリ洞遺跡の旧石器時代の地層から出土したモクズガ二やカワニナの分析から、その利用季節が主に秋であること、また「旬」に合わせた資源利用が行われていたことが示されました。
3)2万3千年前の貝器文化(世界最古の釣針を含む多様な貝器)
サキタリ洞遺跡の2万3千年前の地層からは、二枚貝やツノガイ製の貝器とともに、巻貝(ニシキウズ科)製の釣針が出土しました。サキタリ洞遺跡の出土品は、旧石器人が多様な貝類を利器や装飾品として利用していたことを物語っています。これまで世界最古の釣針(J字形をしたいわゆる釣針形のもの)は、東ティモールのジェリマライ岩陰から発見された2万3千年前~1万6千年前のものでしたが、サキタリ洞遺跡のものは、これと同列最古でより年代が明確な証拠となります。
11月から開催される博物館特別展「港川人の時代とその後-琉球弧をめぐる人類史の起源と展開」では、サキタリ洞遺跡から出土した3万年前の人骨やモクズガニ、カワニナ、世界最古の釣針についても実物を公開します。ご期待ください。
主任 山崎真治