最終更新日:2008.08.16
今回は「恐竜ミュージアム2008」で展示している資料についてご紹介します。
展示室に入ってまず一番目を引くのは、沖縄県立博物館・美術館所蔵の「サウロロフス」でしょう。この資料は1980年に行われた「ソ連科学アカデミー 恐竜展」の際購入したものです。その展示会には15万人余もの入館者があり、沖縄県立博物館の入館者数最高記録として、いろいろな逸話が残されています。当時幼かった私ですらその時のポスターは鮮烈に覚えていますので、ご記憶の方も多くおられるのではないでしょうか。
では、サウロロフス(隆起のあるトカゲの意味)について、もう少し話を進めてみましょう。体長約10m、体高約5mに達し、二足歩行する植物食恐竜としては最大級で、白亜紀(約7000万年前)に東アジアや北米に生息していたハドロサウルスの仲間です。頭にトサカのように伸びた骨があるのが特徴です。その外観から、80年代にはサウロロフスは半ば水中生活(突起はシュノーケルの役割)をしていたという説がありましたが、研究が進み現在では、主に陸上生活を行っていたと考えられています。頭の突起についてはシュノーケル説は否定され、個体識別や仲間とコミュニケーションをとるための器官に関連しているのではないかと考えられています。骨格復元モデルについても、80年代までは尾を地面に引きずったポーズであったものが、現在は尾を地面につけないポーズとなっています。
このように恐竜の研究は着実に進んでおり今後も、今までの学説が覆されたり、新しい説が提唱されることで、私たちが抱いていた恐竜のイメージが、どんどん変わってゆくことでしょう。だからこそ私たちは恐竜に魅力を感じるのかも知れません。
主任学芸員 知念 幸子