博物館では、沖縄の特徴ある自然・歴史・文化を深く理解し、未来に受け継ぐために必要な学術、展示、普及活動を行っています。また、国際化時代に対応し、沖縄に深い関わりのあるアジア・太平洋地域の資料を調査研究・収集・保存・展示する活動を通して、文化交流の促進をめざしています。
博物館では、展示や収蔵資料に直接関連した学芸活動のほか、沖縄に関する調査研究に取り組んでいます。博物館の調査研究活動には、統一テーマを設定して全学芸員が一地域を対象として行う全体研究と、個々の学芸員が各自の専門分野について調査研究を進める個別研究とがあります。
全体研究としては、各離島における自然・歴史・民俗・考古・美術工芸の各分野の基礎資料の掘り起こしと、収集を目的とした総合調査を実施しています。1979年度の粟国島を皮切りに、久米島、波照間島、西表島、小浜島などについての調査研究を実施し、報告書を刊行しています。
2004年からは与那国島について調査研究を実施しています。
各学芸員の個人研究については、それぞれの専門分野別に自主的なテーマ設定のもと進めているものや、外部からの依頼を受けて実施されるものなど、さまざまな形があります。また、大学などの研究機関と共同で調査研究が行われることもあります。
沖縄県立博物館では、こうした調査研究活動を通して、沖縄固有の自然や、特徴ある伝統・文化歴史について理解を深めるとともに、沖縄の特性・優位性をひろく内外に向けて発信していくことをめざしています。
博物館資料には多種多様な「モノ」が含まれ、その種類や性質、産地、用途、製作年、法量は多岐にわたっています。このようにバラエティに富む博物館資料を、たしかな形で未来に手渡していくためには、現行の保存、管理技術を運用しながら、さらに長期的視点に立って保存、収蔵状況の向上をはかるとともに、管理、運用、修復技術の向上をめざしていく必要があります。
具体的には、資料の保存にあたって適切な温度・湿度の維持管理、虫害への対処など、資料の劣化、損傷を防ぐ努力をすすめるとともに、劣化したり破損した資料の修復にも取り組んでいます。
また、資料の保存状況や収蔵状況を体系的な形で記録するため、資料のデジタル化、データベース化を推進しています。
博物館では、沖縄の自然・歴史・文化に関する資料、標本の収集をすすめています。沖縄に直接関係する史料や関連資料は、県内はもとより日本各地に及び、さらに世界各地にまで広がっています。このことは、海にかこまれた島国沖縄と、日本各地や諸外国との間で、海を越えて繰り広げられてきた長い交流の歴史を、端的にあらわしています。
展示では、テーマに沿って資料を陳列し、一般に公開します。展示を企画し、構成するにあたっては、個々の資料が有する背景や意味も重要になります。学芸員の展示活動においては、資料自体を多角的に、かつ詳細に分析するとともに、資料に関連する事柄を調べあげ、より親しみやすく、わかりやすい展示をめざしています。
展示の形には、沖縄の自然・歴史・文化を紹介する基本的な展示である常設展、ある特定のテーマに沿って開催される特別展、企画展(入館料が異なります)があります。また、博物館を飛び出して、島々を巡回しながら開催される展示・移動博物館は、多くの離島からなる沖縄県の博物館を特徴づける展示活動となっています。