09 《朱塗沈金蝶模様文庫(朱漆草花蝶沈金文庫)》金城 唯貞(南海)(1’22”)

ナレーター:城間 はなね(沖縄県立那覇国際高等学校 放送部)

「▶」をクリックすると音声が流れます。

「文庫」とは、本や紙、筆記用具といった、身の回りの品を収めるための箱です。

この文庫は、鮮やかな朱色の漆に、沈金といわれる技法で模様が施されています。

沈金とは、漆の表面に細い刀で線を彫り、その溝に漆をすり込み、金を埋め込んで模様を浮かび上がらせる技法です。

丸い枠の中に、羽を広げた蝶の模様がいくつも配置され、そのまわりを菊や唐草の模様が埋め尽くしています。

固い漆面を刀で彫ったとは思えないほど、のびやかで優美な線からは、金城の卓越した技術が感じられます。

金城は沈金だけはでなく、絵画や書、俳句にも秀でた人物でした。幼い頃から培った確かな技術と多彩な才能が活かされ、伝統的でありながらも、どこか洗練されたモダンな印象を与える作品です。

次へ(10 《孫》藤田 嗣治)

  一覧に戻る

シェアしてみゅー

TOP