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片足を上げて立つ一羽の軍鶏。鋭い目つきでこちらを見据え、太く力強い脚からは、闘鶏としての勇ましさが伝わってきます。
近づいて見てみると、羽の一枚一枚まで丁寧に描かれていることがわかります。首の赤い羽、胸や背中の黒い羽、そして尾のつややかな羽。それぞれの色や質感の違いが細やかに表現されています。
背景には何も描かれておらず、それがかえって、軍鶏の存在感を際立たせています。
作者の義村朝義は、琉球王国末期の1866年、首里に生まれました。書や絵にすぐれ、さらに空手家としても知られた人物です。
この軍鶏の凜とした力強さは、武芸にも秀でた朝義ならではの表現といえるでしょう。