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たくさんの雀が、竹の枝にとまり、ハイビスカスの花のまわりを飛び交い、地面で何かを啄んでいます。
一羽一羽の動きが丁寧に描き分けられ、雀の躍動感が伝わってくる作品です。眺めていると、賑やかな雀の声や、竹の葉が揺れる音まで聞こえてくるようです。
竹と雀の組み合わせは、中国や日本で古くからよく描かれてきた題材です。そこに南国の花、ハイビスカスを描き入れることで、新しい感覚の日本画として表現されています。
山口瑞雨は、1868年に現在の栃木県で生まれました。1896年からおよそ15年間、沖縄県師範学校で美術を教え、美術教育に力を注ぎました。さらに、丹青協会といった美術団体を設立し、沖縄の近代美術の発展に大きな役割を果しました。