最終更新日:2026.03.30
当館では、毎年第二土曜日の午後、学芸員講座を開催しています。地学・地質分野ではこれまで県内各所でジオツアーを開催してきました。
令和7年度最後の学芸員講座は、ジオツアー「名護市嘉陽層の褶曲」です。地学担当の宇佐美と、地質担当の新山学芸員で解説を担当、その他、当館の森下学芸員、大城直也学芸員、沖縄美ら島財団の石田学芸員、藤田学芸員とともに開催しました。

2017年度(平成29年度)、2018年度(平成30年度)の同時期にも、同じテーマで開催したのですが、2017年度は大雨で途中で中止としたとしたことがありました。詳細は、「雨のジオツアー 「名護市嘉陽層の褶曲」」をご覧下さい。
今回は良好な天候の下、安全に実施したいという願いも叶い、無事に終了することができました。時々、現地についてのお問い合わせがありますので、ツアーの概要と注意点を記します。
嘉陽層の堆積した時代は およそ5000~4000万年前の古第三紀始新世です。沖縄島中北部東海岸に分布し、砂岩と泥岩が激しく褶曲した ダイナミックな地層を各地で見ることができます。嘉陽層の中でも底仁屋と天仁屋は、国指定天然記念物に指定され保護されています。
最初の観察地、底仁屋は、沖縄県の高校の理科野外実習で古くから利用されておりご存知の方も多いことかと思います。砂岩と泥岩が交互に繰り返す地層(互層)からなる嘉陽層の中でも、底仁屋は砂岩優勢部で、布団を折り畳んだような形の褶曲(横臥褶曲)をメインに、現地ならではの岩石にふれながら正褶曲や各種断層等を観察しました。



底仁屋での観察の様子
お昼休みを挟んで、午後からは、もう一つの指定地、天仁屋海岸に向かいました。車は天仁屋川河口付近で駐車。そこから徒歩で天仁屋川を渡り、足場の悪い、干潮時の海岸を,バン崎を最終目的地に約2kmの移動となります。


天仁屋海岸の指定地は、バン崎までの約2kmの間に、多数の褶曲、断層、生痕化石、カヘイセキ等、様々な地学的事象が観察出来るポイントです。

カヘイセキ


生痕化石







ここが最終目的地、バン崎です。何度来ても何度見ても,地球のダイナミズムと自然の壮大さを感じるたまらないポイントです。写真だけでもすごいと感じられると思いますが、現地で生の地層を見るとさらに実感します。人間が小さく見えます。
難しい言葉無しでも十分に偉大な地球の力を実感出来るポイントです。私はここを見ると人生が変わると言っていつも紹介しています。実際にこれまでここに来て人生が変わった学生さんを何人も見てきました。

興味のある方は、安全に留意し、ぜひ一度足を運んでいただけたら幸いです。
本学芸員講座・ジオツアー開催にあたり、天仁屋区の方には大変お世話になりました。 また参加者の皆様におかれましては、途中、数カ所の難所をお互い助け合いながら乗り越え、おかげさまで全員がバン崎まで到達、怪我なく安全にツアーを終了することが出来ました。 この場をお借りしてあらためて御礼申し上げます。
注意点
今回の講座では、これまで以上に安全面に留意し、万が一に備えてスタッフを増員、落石や転倒による怪我防止のため、ヘルメットの着用やしっかりとした靴を準備していただくなど、徹底した安全対策等を講じて実施しました。
現地は携帯電話も繋がりにくい場所です。また潮を間違えると潮が満ちてきて戻れなくなります。大潮の干潮前2〜3時間前に出発して、最干潮時までにはバン崎に着き、潮が満ちてくる前に早めに出発地点まで戻る潮の満ち引きを考慮した時間にゆとりをもった設定とし、万が一に備え初めて行かれる方は、単独で行くことを避け、一度行ったことがある方と同行することを強くお勧めします。また、大潮の干潮とはいえ冬の日中の大潮の干潮は、夏と比べて潮位が高いので、冬場の潮も要注意です。
底仁屋、天仁屋ともに国指定天然記念物として保護されています。
博物館班長 宇佐美賢