7月上旬に実施した石垣島の洞穴調査に引き続いて、動物化石や旧石器人骨の発見を目的として、8月上旬に沖縄本島中部の洞穴調査を行いました。今回は、その概要についてご紹介します。
沖縄本島中部にある、とある洞穴。
ジャングルの中のドリーネ(石灰岩洞穴が陥没してできた窪地)
に開口しています。
狭い洞口から内部にエントリーします。
洞口から入るとすぐに急斜面になっています。
ロープを設置して安全を確保します。
5mほどの急斜面を慎重に下降します。
気をつけて!

斜面を降りると大きなホールになっていました。
洞床には礫が敷き詰められたような場所もあり、
戦時中に整備されたのかもしれません。
比較的人の出入りが多いようですが、コウモリさんもいるようです。
ホールからさらに下に降る狭い穴があり、
ハシゴが設置されていました。
ハシゴを使ってシャフトを下降します。
大丈夫でしょうか・・・
シャフトの底には狭い空間がありました。

焼き物(陶器)のかけらが落ちていました。
上から落ち込んだのでしょうか。
床面は砂礫で覆われていることから、
雨が降った時などには水が流れ込むようです。

空き缶やプラスチックなどのゴミと一緒に、
動物の骨(矢印)も落ちています。

岩の上に動物の骨が集められていました。
誰かが集めてここに置いたのでしょうか。

壁面に付着した堆積物には、大型のカタツムリ(シュリマイマイ?)
がたくさん含まれていました。動物の化石(矢印)も混じっているようです。
いつの時代のものでしょうか・・・

なんと、岩の上で土器のかけら(矢印)を見つけました!
しかし、こんなところに、なぜ土器があるのでしょうか・・・

重要な発見なので、記録写真を撮っているところです。

岩の隙間には鉄製の鍋?(直径30cm程度)が埋もれていました。
現代ではあまりみかけないような形です。戦前のものでしょうか?

ところどころに、きれいなケイブパールができていました。

おおよそ調査も終了したので、脱出します!
気をつけて!

脱出して一息ついている調査隊のみなさん。
おつかれさまでした!
沖縄本島中部の洞穴調査、いかがだったでしょうか。
今回の調査では遺跡に関する新たな知見も得ることができました。
今後詳しく調査研究していく予定です。
今回の調査では、石原与四郎博士(福岡大学)、大岡素平氏(おきなわワールド)、沖縄市立郷土博物館、北谷町教育委員会の皆さんにご指導・ご協力いただくとともに、大変お世話になりました。心より御礼申し上げます。
※洞穴探検には危険が伴います。必ず経験者の指導のもと、必要な装備を整え、安全には十分に注意して入洞するようにしてください。
主任学芸員 山崎真治