最終更新日:2024.10.02
(前回からの続き)
前回は当館のエントランス展示『壁の時代』について紹介しましたが、今回は同時期に別の展示会を宮古島において実施していました。今回はその顛末について触れていきたいと思います。
令和6年9月27日から宮古島市歴史文化資料館にて『琉球と倭寇のもの語りin宮古島』の展示が始まりました(写真1)。昨年実施した当館企画展である『琉球と倭寇のもの語り―海を越える人々(前期)―』を今回は宮古島バージョンにリニューアルをして展示しております。
写真1 宮古島市歴史文化資料館外観
この企画展は宮古島の郷土史家である稲村賢敷氏が生誕して130年を記念して宮古島市教育委員会が関連する展示会ができないかという相談を受けたことが契機となり、実施に至りました。
稲村賢敷氏は琉球と倭寇との関係について民俗学、言語学、考古学からの観点で明らかにしようとした研究者で、2020年に当コラムにてその人物像について取り上げたことがあります。ご興味ある方は稲村賢敷氏について触れた学芸員コラムを以下のURLからアクセスすることができるので、ご参照ください。
郷土史家・稲村賢敷という人物について(中)http://okimu.jp/museum/column/1591867953/
会場となった宮古島市歴史文化資料館の展示室にて開幕前日に入って展示設置作業に入ったのですが、当初は展示パネルが多いこともあり、かなりの時間を要するもの見ていました。しかし、その心配をよそに宮古島市教育委員会の方々による手厚いサポートにより、当日の夕方には展示作業を終えることができました(写真2)。また、展示スペースも十分に確保されていたこともあって、展示パネルや展示資料の確認、展示のレイアウト確認といった作業も滞りなく行うことができました。
写真2 展示パネル設置作業風景
そして最もありがたかったことは、展示をサポートしていただいた皆さんは展示作業に慣れていることもあってか、迅速かつ的確にパネル設置やキャプション作成していただけたことでした。
このようなことから満を持して展示初日を迎えることができたことは、この企画展にとって幸先の良いスタートを切ることができたことを意味していました(写真3)。
写真3 開幕初日の展示風景
開幕初日に観覧していただいた方も少ないながらもいらっしゃったことに胸を撫で下ろしました(写真4)。
また、宮古島市内の報道関係の方の取材に来ていただいたおかげで2日目はより多くの方が来館していました。この企画展に合わせて講座『琉球と倭寇と宮古島』ならびに展示解説会を9月29日に行ってきたのですが(写真5)、こちらも雨模様の天気であるにもかかわらず21名の方が参加していただきました。
写真4 企画展を観覧する来館者
写真5 関連講座『琉球と倭寇と宮古島』の様子
参加者からは講演後に多くの質問を賜り、またこちらも多くの方が興味を持っていただいていることを強く認識するに至りました。展示解説会においても真剣に耳を傾けていただき、展示資料についての質問も多数、上がりました。
このように興味関心を向けていただいていることに直接触れることができた一瞬が、展示を行って良かったと感じる瞬間でもあります。この一瞬があるからこそ、また次の展示を行おうとする意欲へと繋がっていきます。
次回へ続く
(主任学芸員 山本 正昭)
昨年度に実施しました『琉球と倭寇のもの語り―海を越える人々(前期)―』の関連講座『倭寇関連の史跡を読み解く』の動画を参考までに紹介しておきます。
動画の内容としましては琉球列島や中国大陸沿岸部に残る倭寇に関わりある遺跡について紹介しています。それと合わせて倭寇とされる人々の姿についてあぶり出していく内容となっておりますので、ぜひご覧ください。
主任学芸員 山本正昭