最終更新日:2023.08.15
当館所蔵の「銘苅家文書」と「琉球国王朱印状」が、古文書学(こもんじょがく)及び琉球史研究上の学術的価値が高い資料として、2022年11月18日に国の重要文化財に答申され、2023年6月27日の官報告示(かんぽうこくじ)をもって正式に指定されました。これを記念して9月10日(日)まで、両資料を博物館常設展示室の歴史部門展示室で公開しております。
琉球国王朱印状は、琉球国王が役人等を任(にん)ずる際や、土地等を与える際に発給(はっきゅう)した公的な文書です。琉球国王の印(「首里之印(しゅりのいん)」)が押されていることから、琉球王国時代の史料では「御朱印(ごしゅいん)」「御印判(ごいんばん)」と記載され、琉球史研究上「辞令書(じれいしょ)」と呼ばれています。
このたび指定された古文書の内「銘苅家文書」は、琉球国王朱印状(辞令書)3件と絵図1件の合計4件の資料群です。伊是名島(いぜなじま)出身で第二尚氏王統の初代に当たる尚円(しょうえん)王(金丸(かなまる))の叔父(おじ)から続く銘苅家に伝来し、琉球国王の名において1587年に伊平屋(いへや)(伊平屋・伊是名島及び周辺離島)の首里大屋子(役人)に与えた所得や命じた貢納を示したものや1736年に銘苅家の七世・朝典(ちょうてん)、1741年に九世・朝義(ちょうぎ)に銘苅大屋子(役人)の役職を与えたものと、1870年に金丸(尚円王)のへその緒を埋めた「みほそ所」等、現在の伊是名村諸見(しょみ)の一部が描かれた図があります。もう一方の「琉球国王朱印状」は、琉球国王の名において1595年に宮古島の下地(しもじ)の大首里大屋子に与えた所得や特権を示したものです。
特に16世紀後半に作成された2つの琉球国王朱印状(辞令書)は、古琉球の時期に発給された現存数の少ない実物資料となります。この機会にぜひご覧ください!
写真1:万暦十五年琉球国王朱印状(銘苅家文書の内)(1587年)
写真2:琉球国王朱印状<大首里大屋子充/万暦二十三年八月廿九日>(1595年)
<展覧会情報>
展覧会名称:「重要文化財指定記念 銘苅家文書と琉球国王朱印状」
開催期間:2023年8月4日(金)~9月10日(日)
開催場所:沖縄県立博物館・美術館 博物館常設展示室 歴史部門展示室
主任学芸員 崎原恭子