最終更新日:2021.11.09
特別展、企画展、特集展といった期間限定の展示を行うにあたっては、どのようなテーマとコンセプトで進めていくのかを決めることから始まります。ここでは特集展「中城グスクと新垣グスク」が開催されるまでの経過をとおして、展示の基礎準備について触れていきたいと思います。
この展示は来年の令和4年で中城グスクが国指定史跡となってちょうど50年という節目となることから、主テーマの冒頭に「中城城跡国史跡指定50周年記念」と銘を付け、この特集展のコンセプトを明確に打ち出しました。これは観覧者に対して特集展『中城村のグスク 中城グスクと新垣グスク』を行うことの意義を強調させることと、文化財の保護を強く意識付けるといった2つの意味が込められています。
また、今回は中城村教育委員会との連携が無ければ開催が実現しないことから、展示のテーマ設定や展示の構成、展示するための借り受ける資料の確認、より多くの方々に来館していただくための広報のやり方など、展示に向けての打ち合わせを数回にわたっても重ねました。
(写真:内容検討の様子)
今回の展示を行う場所は博物館エントランスと常設展示室にある歴史部門展示室と2か所に分かれて実施します。博物館エントランスには主に新垣グスクに関連する展示を、常設展示室内の歴史部門展示室では中城グスクに関する展示を行うといった2部構成とすることに決まりました。
展示会場が決まると、展示資料や展示パネルをどのように置いていくのかを決めていかなければなりません。とくに今回、展示する資料の中でも中城グスク内にかつてあった鍛冶場の原寸大模型と中城グスクから出土したアオウミガメの腹骨は今回の展示物の中で最も大きな展示物になるので、これらの展示する位置については、展示スペースの寸法や使用する展示ケースの確定といった入念な確認作業を行わなければなりません。また、おきみゅーが所蔵している資料で今回の展示内容に合った資料の選び出しと、それらの展示方法のシュミレーションも行わなければいけないことなど、大まか作業だけでもたくさんあります。
このように展示を行うにあたっては細かな展示計画を練ったり、展示資料や展示パネルの設定といった様々な事前準備を行っていく必要があります。
(写真2:エントランスでの展示打ち合わせ)
(写真3:歴史部門展示室での打ち合わせ)
展示を見る人は必ずしも沖縄の歴史が好きな方とは限りません。また、今回取り上げる2つのグスクのうち、中城グスクへ行ったことがあるという方は割といらっしゃる一方で、新垣グスクへ訪れたことがある方はかなり限られているかと思われます。このように様々な目的で展示を観覧する方々に対して、展示する側も今回の特集展について目を向けてもらうための工夫が必要となってきます。
そこで、来館される多くの方々に特集展『中城村のグスク』への興味と関心を持ってもらうため、12月26日に当特集展の展示解説会を実施します。この展示解説会では中城グスクならびに新垣グスクについて詳しく説明し、2つのグスクの新たなる魅力を知っていただくことを目的に行います。この展示解説会については、午前の部と午後の部で計2回実施し、参加者定員は各回先着15名となっております。参考までに中城グスクと新垣グスクの歴史については下記のURLにて紹介されていますので、当特集展の観覧前や展示解説会前にご覧いただければと思います。
(写真4:展示予定のアオウミガメ剥製標本(進化展での展示状況))
中城グスク(中城城跡共同管理協議会製作):https://www.nakagusuku-jo.jp/history
新垣グスク(中城村産業振興課製作)http://toyomu.com/spot/spot.php?id=27
主任学芸員 山本正昭