1. 島に生きた旧石器人とその文化を探る-サキタリ洞遺跡発掘調査速報展-

島に生きた旧石器人とその文化を探る-サキタリ洞遺跡発掘調査速報展-

最終更新日:2014.01.30

来る2月18日(火)より、博物館企画展「サキタリ洞遺跡発掘調査速報展」がスタートします。この展示会は、「島に生きた旧石器人とその文化を探る」と題して、人類の誕生から沖縄への人類の渡来、そして近年発掘調査がすすむサキタリ洞遺跡の新たな成果についてもわかりやすく紹介します。


沖縄にはじめて人類がやってきたのは、3万年以上前の旧石器時代のことだったと考えられています。当時も沖縄は、現在と同じように周囲を海に囲まれた島でした。現在の沖縄島(沖縄本島)の面積は、四国や択捉島(えとろふとう)、国後島(くなしりとう)よりは小さいですが、約1200平方キロで、日本の島の中では7番目の大きさです(図1)。しかも、旧石器時代には現在よりも海水面が約120mほど下がっていたと考えられており、慶良間諸島あたりまでは陸続きだったと思われますから、かなり大きな島になっていたようです。

実は、旧石器時代に人類が生息していた島は、世界中を見わたしてもそう多くはありません。インドネシアの東に浮かぶフローレス島は、面積13500平方キロで四国よりやや小さい島ですが、80万年以上前に原人の仲間(ジャワ原人の仲間だったと考えられています)が到達していたことで有名な島です。フローレス島に到達した原人は、長い年月の間に島に適応し、体型も小型化していた(身長わずか1mほど)ことが知られています。

島での生活には、本土とは異なったさまざまな側面があります。長い間本土から切り離されていたフローレス島や沖縄島では、本土と比べて中大型動物が少なく、陸獣などの動物相が貧弱です。フローレス島のフローレス原人は、水牛ほどの大きさの小型化したゾウ(ピグミーステゴドン)や、体高1.5mもあるハゲコウの仲間を捕食していたようですが、そうした動物たちはやがて絶滅していったようです。

沖縄でもかつてはリュウキュウジカやリュウキュウムカシキョンといったシカの仲間が生息していましたが、2万年前頃には絶滅し、中大型の陸獣はイノシシ一種のみになりました。しかも、旧石器時代には、沖縄周辺の海は現在のように温暖ではなく、サンゴ礁も発達していなかったと考えられており、サンゴ礁がもたらす魚や貝といった海の資源を利用することも難しかったようです。旧石器人にとって、沖縄は非常に苛酷な環境だったに違いありません。しかし、沖縄では、沖縄島、久米島、宮古島、石垣島の各島から、旧石器時代の人骨が発見されています。

沖縄の旧石器人たちが、どんな生活を送っていたのか、まだまだわからないことだらけですが、近年のサキタリ洞の調査を通して、どんなことがわかってきたのか、ぜひ会場で確かめてみてください。

図1 島々の大きさの比較1

図1 島々の大きさの比較1

 
図2 島々の大きさの比較2

図2 島々の大きさの比較2


 

主任 山崎真治

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