1. 生き物がつくる石 -石灰岩-

生き物がつくる石 -石灰岩-

最終更新日:2013.12.26

写真1 サンゴ化石

写真1 サンゴ化石

写真2 貝化石

写真2 貝化石

写真3 石灰藻球化石

写真3 石灰藻球化石

写真4 大型有孔虫化石(サイクロクリペウス)

写真4大型有孔虫化石(サイクロクリペウス)

沖縄は「隆起サンゴ礁の島」などと言われます。サンゴ礁にはサンゴ(写真1)以外にも多くの生き物が生息しています。その中で貝類(写真2)やウニ、石灰藻球(写真3)や有孔虫(写真4)などは、サンゴと同じように硬い骨格を持っています。これらの生き物は、死んだ後も堅い骨格部分がのこり、堆積していきます。この堆積物が固結すると石灰岩になります。広く南西諸島に分布する石灰岩を「琉球石灰岩」といって、多くの化石を含んでいます。サンゴ礁が形成される場所は当然海面下になりますから、それが陸上にあると言うことは、地殻変動によって地面が隆起したことを示しています。

さて、沖縄島に分布する石灰岩には、約130万年から10万年前に形成された琉球石灰岩と、約2.7億年前から2億年前に形成された、本部半島にある古期石灰岩の2種類があります。もちろん両方とも海の生物によってできたものです。これらの石灰岩は、石材やセメントの原料として、私たちの生活に利用されています。

石灰岩が海の生物からできていることで、地球環境における重要な役割を果たしています。石灰岩の成分は炭酸カルシウム(CaCO3)で、カルシウム(Ca)と二酸化炭素(CO2)でできています。これは、温室効果ガスである二酸化炭素を固体、つまり岩石に閉じ込めて大気中の二酸化炭素濃度を下げ、地球の気温を安定させてきたということです。しかもその活動は数十億年にもわたり続けられてきたのです。その結果、地球上に多くの生物が誕生し進化してきました。

サンゴ礁に棲む生き物の1つ1つは小さいけれど、地球にとってはとても大切な生物たちです。将来の地球を守るために、現在のサンゴ礁を保全することが大切なのです。

主任学芸員 仲里健

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