最終更新日:2013.11.27
写真1)サキタリ洞出土の押引文土器
図1
先日、当館が発掘調査を行っている南城市サキタリ洞遺跡で、8000年前の沖縄最古の土器が発見されたことが報道されました。大きく報道されましたので、新聞等でご覧になった方も多いかも知れません。 これまで沖縄では、約7000~6000年前の無文土器や南島爪形文(なんとうつめがたもん)土器が最古の土器とされてきましたが、今回の発見はそれを遡るさらに古い土器が発見された、というものでした。詳細については、11月24日(日)に行われた見学会パンフレットに掲載されていますので、こちらをご覧ください。
今回発見された土器は、押引文(おしびきもん)土器という名前の土器です。正確には「押引文」というのは土器の表面につけられた模様の名前です(写真1:枠線で囲んだ部分に押引文が見られます)。土器の表面に割箸状の工具で押したり引いたりした模様を持つ土器を、押引文土器と呼んでいるのです(図1)。ちなみに、これまで発見されている沖縄の土器の中にも、「押引文」をもつ土器はあるのですが、今回の押引文土器のようなタイプは初めてでした。
土器の模様には、「押引文」以外にもいろいろな模様があります。南島爪形文土器に見られる「爪形文」は、その名の通り製作者の爪の跡が残されたものです(図2)。放射肋のある二枚貝の貝殻を引きずってつけた模様は「条痕文」と呼ばれています(図3)。
土器に残されたいろいろな模様は、製作者たちが「こだわり」をもって土器を作っていたことを物語っています。不思議なことに、土器の模様は時代ごとに変化していくことが知られています。土器の模様にも、流行のファッションがあったようです。何のために、わざわざこのような模様がつけられたのでしょうか?興味は尽きません。
主任 山崎真治