1. 台湾に行ってきました

台湾に行ってきました

最終更新日:2013.04.26

写真1 八仙洞遺跡のある台湾の東海岸。切り立った崖がそびえている。

写真1八仙洞遺跡のある台湾の東海岸。切り立った崖がそびえている。

写真2 崖を登ったところにある発掘区画。もっとも深い地層は約2万年前で、海岸礫がたくさんある。これを加工した石器がたくさん発見された。

写真2崖を登ったところにある発掘区画。もっとも深い地層は約2万年前で、海岸礫がたくさんある。これを加工した石器がたくさん発見された。

写真3 八仙洞遺跡の特別展。たくさんの石器が展示されていた。

写真3八仙洞遺跡の特別展。たくさんの石器が展示されていた。

写真4シンポジウムで偉そうに発表する藤田学芸員(いや、別に調子にのってないですよ)。

写真4シンポジウムで偉そうに発表する藤田学芸員(いや、別に調子にのってないですよ)。

平成25年3月末、台湾の台東博物館で旧石器関係の国際シンポジウムがありました。
私も招待していただき、大喜びで参加してきました。台東には八仙洞遺跡という旧石器の発見されている遺跡があり、これを中央科学院という研究所の考古学者が中心となって発掘していました。その成果がまとまったので、博物館で成果発表の特別展が開催され、関連イベントとして国際シンポジウムが開催されたのです。

八仙洞遺跡は、隆起速度の速い台湾東海岸の崖地に形成された海食洞で、海食洞が形成されるとともに地形が隆起していくので、標高の高いところほど古い時代に形成された海食洞があります。発掘区画も見せていただきましたが、区画のいちばん深いところには海岸礫があり、こうした海岸礫を割って石器を作っていたそうです。詳しくは、当館紀要第3号に山崎学芸員が論文を書いているので、興味のある方はご参照ください。(こちら) 

シンポジウムは、台湾をはじめ、中国南部、香港、海南島、フィリピン、ベトナムなど近隣諸国の旧石器研究者が集まって行われ、日本からは岡山大学の稲田孝司先生と私が参加しておりました。私は、港川や山下町など、沖縄の主要な更新世遺跡について紹介し、そして、現在調査が進められているサキタリ洞遺跡や白保竿根田原洞穴遺跡の成果を発表しました。とても興味を持って聞いていただき、発表後には山下町の石器と考えられる砂岩礫や、白保竿根田原洞穴遺跡出土人骨の研究状況について詳しく教えてほしいといった質問を受けました。もちろん、我らがご自慢のサキタリ洞遺跡の1万2千年前のヒト歯と石英製石器3点についても鼻高々で発表したのですが、意外に反応がうすかったのが拍子ぬけでした。(しかも某参加者から、「たった1万2千年前か?」と言われてムッとしたのは秘密だ)

これまで、沖縄の更新世遺跡について興味はあったが十分な情報を知らなかったと、何人かの研究者から言われました。私たちも、学術論文の発表や当館での展示、新聞などのメディアを通じて情報発信してきたつもりでしたが、海外へ向けても正確な情報を発信していくことはとても重要だなと感じました。また、台湾やアジア諸国の旧石器研究もめまぐるしく発展しているので、国際学会に積極的に参加して、情報交換をすることの重要性と楽しさを感じた1週間でした(台湾料理もおいしかったしね)。

主任 藤田祐樹

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