最終更新日:2012.04.27
皆さんは、生物多様性という言葉を聞いたことがありますか。この数年、マスコミ等でも話題になっているので、一度くらいは聞いたことがあるという人は多いことでしょう。
生物多様性というのは、一言で言えば生きものがたくさんいるということ。そして、私たちの暮らしと密接な関係があるということです。それは、なぜ?、という難しい話を聞きに行こうというのがこのコラムの目的ではありません。
生物多様性の話で、よく話題になることのひとつに、沖縄は生物多様性の高い地域であるということがあります。そうであるならば、ゴールデンウィーク真っ只中のこの季節、生物多様性を体感しに出かけてみるのは、いかがでしょうか。
4月から5月のヤンバル。春先の新緑のにぎわいも落ち着きをみせ、少しずつ夏色に染まっています。多くの動物たちは子育てを始め、まさに命の華やぎを迎える季節です。そう、たくさんの生きものたちに出会う、まさに絶好の季節。
とはいっても、動かない植物はさておき、飛びまわり、走りまわる動物たちを見つけるのはひと苦労。また、子育て中の動物には、神経質なやつもいます。場合によっては、子育てを放棄させかねません。
でもね、無理に姿を見つける必要はありません。離れたところから、その声を聞くだけで充分。ヤンバルクイナにノグチゲラ、コゲラ、シジュウカラからヒヨドリ、メジロ。雨模様ともなればリュウキュウカジカガエルにヒメアマガエル、場合によってはホルストガエルの声も聞けるかも。
動物たちの声を楽しみながら、ヤンバルの林道を散策する。きっとたくさんの生きものたちを実感することでしょう。そして、生きものたちと自分とのつながりについて考えてみる。それが生物多様性を聞くということ。この季節の、一番お得な自然の楽しみ方。
博物館副館長 千木良芳範