セミとり今昔

最終更新日:2011.07.22

写真1

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夏の暑さも本番突入という感じで、いよいよ子どもたちの楽しみにしている夏休みも始まりました。 子どもたちがセミを捕まえようと上を見あげて走り回る光景は、今も昔も変わらない夏の風物詩でもあります。 しかし、そんな光景の中にも、大きく変わったものを見ることができます。 それは、子どもたちの持っているセミとりの道具です。現在の道具は、プラスティック製の虫とり網と虫かごで、 スーパーなどで簡単に手に入れることができるものです。 それでは、昔(50年ほど前まで?)の子どもたちはどうやってセミを捕まえて楽しんでいたのでしょうか? 

まずセミを捕まえるための道具ですが、それはバショウやバナナの葉です。大きく広がる前の若葉(写真1)を切り取り、それを竹ざおや長い棒切れに縛って作ったものでした。木の幹にとまっているセミの下(横)の方から、若葉を押しつける(写真2)と、セミはポトリと中に落ち、見事捕獲に成功です。セミはどんどん小さくなっている下の方へ進み、飛び出すことはほとんどありません。後で取り出そうとしても、取り出すのに苦労するくらいです。ほかにも、二股になった木の枝を切り取り、それにクモの糸をからませてつくったセミとり(写真3)などがあります。次に捕まえたセミを入れる虫かごですが、それはソテツの葉を編んで作りました。出来上がりはゲジゲジムカデのような姿(写真4)で、何ともユーモラスです。セミを入れるにはちょうどいいぐらいの大きさでもあり、セミもこの中から逃げ出すのは困難です(写真5)。

昔の子どもたちは、一歩外に出れば、豊かな自然に囲まれ、庭先や畑、道端などに生えている木や草、花や実、浜辺では貝がらなど、身の回りにあるものを利用して遊びました。そこには、沖縄の子どもたちの知恵や創意工夫が詰まっており、また、年上の子たちから年下の子たちに遊びのルールや技術が伝授されました。今回紹介したセミとりや虫かごはそのほんの一例ですが、当博物館で開催する『夏休み!博物館学芸員教室』の「植物でおもちゃを作っちゃおう」(8/2 AM10:00~11:30)でソテツの葉の虫かご作りの体験教室を予定しています。今年の夏は、手作りのセミとり道具をもって、セミとりに出かけてみてはいかかでしょうか。

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主任学芸員 岸本 敬

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