過去の展覧会
この展覧会は終了しました
美術館 企画展2020年09月18日(金) ~ 2020年11月03日(火)
かつて『概念的な絵』という言葉がよく使われました。絵を酷評するもっとも強力な武器としてです。子どもが描く記号的な絵でも、意味が伝わる。そこに具象絵画の根源と可能性を見出した稲嶺成祚(いなみね・せいそ)は、「何を描くかも大事だが、どのように描くかの方に、より重大なメッセージが入る」と語り、独自の様式を作り出そうと試みます。本展では、60年を超える画業の中で1600点以上の絵を描いてきた画家の変遷をたどる、作品約90点を紹介します。
『おれは概念的な絵をかいてやろう』と思い立ったのが私の絵の始まりでした。 ―稲嶺成祚
稲嶺は琉球大学卒業後、東京に1年間滞在して美術館を巡る中で、西洋画とは異なる、日本画の平面性に着目します。この時から、これまで学んだアカデミックな写実表現と決別し、自らの様式を作り出そうと考えるようになりました。
幼児が描く単純化された「花」は、実際には存在しない記号的な形ですが、それを見た人は「花」という概念を示す絵であることを理解します。そこに具象画の新たな方向を見出した稲嶺は、海やB52戦闘機など当時の沖縄の風景を記号的な形で描きました。
小さな作品は、自らの様式を生み出そうと探求する稲嶺の実験場です。加えて、80年代以降に手掛けるようになった壁画の仕事もまた、その画面の大きさゆえに、それまでとは違った構図を模索するきっかけとなりました。
1970年代以降、原点である日本画的な平面性に回帰します。さらに壁画等これまでと異なった形態の作品に挑戦する中で、絵画の装飾性に着目するようになり、面から線の表現へと展開を見せていきました。
1990年代になると画面がより複雑に分割され、異なる時間と空間がパラレルに同居します。稲嶺は「日常は様々な場面の集合で成り立っている」と語り、一つの画面に複数の場面が描かれるようになりました。
1932年沖縄県那覇市(旧・真和志村)生まれ。画家。1955年琉球大学文理学部美術工芸科卒業。1957年「第1回稲嶺成祚個展」(那覇高校)を皮切りに数多くの個展を開催。1972年から1998年まで琉球大学で教鞭をとり、多くの美術教員を養成した教育者でもある。2018年沖縄県文化功労者表彰、2019年令和元年度地域文化功労者表彰(芸術分野)を受ける。
会期 | 2020年09月18日(金) ~ 2020年11月03日(火) |
---|---|
場所 | 企画ギャラリー1,企画ギャラリー2 |
観覧料 |
一般 1,100円(880円) 高校・大学生 500円(400円) 小・中学生 200円(160円) ※( )は前売料金、および20名以上の団体料金 ※ 障がい者手帳をお持ちの方、および介助者の方1名は半額 【プレイガイド】 ミュージアムショップゆいむい、ローソンチケット(Lコード81836) |
開館時間 | 9:00~18:00(金・土は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで |
休館日 | 毎週月曜日(ただし9/21(月)は開館)、9/23(水) |
主催 | 沖縄県立博物館・美術館 |
協 力 | 沖縄県立図書館/琉球大学教育学部附属小学校/浦添市立港川小学校/学校法人カトリック学園首里カトリック幼稚園/社会福祉法人玉重福祉会仲井真こども園 |
後 援 | 沖縄県教育委員会/那覇市教育委員会/沖縄県文化協会/那覇市文化協会/一般社団法人沖縄美術家連盟/沖縄県造形教育連盟/一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー/沖縄タイムス社/琉球新報社/沖縄テレビ放送/琉球放送/琉球朝日放送/ラジオ沖縄/エフエム沖縄/NHK沖縄放送局/fm那覇 |