【開催趣旨】
琉球列島の湿潤な亜熱帯の風土は、特異な地質、植物、動物を育み、そこにくらす人々に生きる恵みを提供してくれた。
琉球石灰岩、貝や動物の骨、シュロ、アダン、クバ、藁、竹、カヤ、バショウなどの植物…。これらの自然素材を、人々はくらしのなかでさまざまなかたちに利用してきた。古くは貝や石による斧、貝やジュゴンの骨による装飾品がつくられてきた。衣食住や生業にかかわる民具や美術工芸品は、素材の性質や形の特質が活かされ、人の知恵を盛り込み、使い込むごとに改良されてきた。沖縄の民具や美術工芸品には、くらしと共にある美があり、そこには沖縄の美意識や造形感覚が色濃く滲んでいる。
この展覧会では、自然素材にスポットをあて、沖縄の人々がくらしのなかで、それをどのように活かしてきたのか、そしてこれから、どう活かしてゆくのかを縦軸に、様々なものづくりの知恵とその美を探る機会とする。
【開催形式】
主 催:沖縄県立博物館・美術館
共 催:文化の杜共同企業体
後 援:沖縄タイムス社 琉球新報社 NHK沖縄放送局 沖縄テレビ放送 琉球朝日放送 琉球放送 ラジオ沖縄 エフエム沖縄 タイフーンfm エフエムレキオ
協 力:沖縄県(観光商工部工芸振興課 工芸技術支援センター)・㈱技建・沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館
【展示内容】
Ⅰ ものづくりのはじまり
まず、人のくらした痕跡として、貝や石による斧などがあらわれる。そして、骨や貝などの装飾品が作られようになる。その形や施された装飾から、当時の人々の想いと美意識を探る。
Ⅱ ものづくりの知恵
素材の形や性質を活かし、さまざまに加工しながら、生活のあらゆる場面で使ってきた先人の知恵を紹介する。
Ⅲ 手わざの美
先人たちが使ってきた、さまざまな道具や工芸品には、用いることで生まれた機能美がある。その美しさを石材、植物、貝・石などの素材別に見ていく。
Ⅳ 新しい自然素材と新しい表現
自然素材を活かしたものづくりが、今後、どのように展開してゆくのかを、自然素材の新しい活かし方や表現、また、新しく開発された沖縄の自然素材から、考える。