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長く保存されてきた標本、特におしば標本のラベルや台紙には、様々な研究者が書き込みをしており、それ自体が学問分野の発展の歴史を物語る遺産です。最近は、標本データベースの公開によって、世界中の標本画像をパソコン上で見られる時代になり、交換などに出されて世界に分散した標本がそれぞれの場所でどう研究されてきたかを総合的に調べられる時代になりました。
今回の講座では、標本ラベル上に書き込まれている様々な情報を読み解く方法と、それによってわかった興味深い事実のいくつかを紹介したいと思います。
チラシはこちらから
1枚のコバノミヤマノボタンのタイプ標本(©東京大学総合研究博物館)に、3枚のラベル(No.1~No.3)が貼り付けられています。これらのラベルはまとめて一時期に貼られたのではなく、情報の更新などにより新たにラベルを追加していったものです。
それぞれのラベルには何が書かれているのか?講座に先駆けてご紹介をしたいと思います。
※左の画像の拡大図はこちらから
[黄色下線部]
小葉ノミヤマノボタン
田代新名
沖縄島国頭地方山中
廿年四月 1887
April
田代安定が国頭郡で採集したもので、
コバノミヤマノボタンの和名は田代自身の命名であることが明記されています。
[黄色下線部]
Tashiroea venusta , Matsum.
okinawensis,
当時の東大教授であった松村任三が新属新種として田代を記念したTashiroea okinawensis Matsum.と命名したという同定が書き込まれています。
[訳]
正しい属。ノボタン亜科(Melastomatoideae),
Casseleerieae(連の名前)に属し、Phyllagathis属に近縁。
-(早田文蔵 B.Hayata)
またはMedenilla属に近縁とすべきか。
松村の後を継いだ早田文蔵がイギリスで研究した結果、独立属として認められると結論した旨のメモが残されています。なお、Tashiroeaは戦後ハシカンボク属Brediaに含められることが多かったのですが、2020年にその独立性が再認識されました。
開催日 | 2025年09月23日(火) |
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開催時間 | 14:00~16:00(13:30開場) |
場所 | 講座室(美術館) |
定員 | 先着50名 |
対象 | 小学生/中学生/高校生/大学・専門学生/一般 |
申し込みについて | 申し込み不要 |
参加費 |
有料
参加費:500円 |
主催 | 一般財団法人 沖縄美ら島財団 |