琉球では、14~15世紀の拠点的グスクで早くも金工細工がみられ、首里王府が成立すると城内で梵鐘鋳造やガラス玉製作も始まりました。16世紀以降の祭祀・儀礼制度の整備とともに、琉球独自の装身具や酒器の製作もみられるようになり、王府工房から民間工房へとモノ作りの裾野を拡げていきました。王府の儀礼・制度に直接かかわるものは、王府内の工房で集中的かつ継続的に製作されましたが、士族以下の用いる装身具や酒器などは、首里周辺の那覇・真和志などに居住していた金属を加工する民間工房も製作を担っていたようです。沖縄・奄美の金工品・ガラス玉の調査で発見された作品の数々を紹介しながら、往時のモノ作りの実態に迫りたいと思います。
キーワード:金工品 ガラス玉、王府工房、民間工房、梵鐘、装身具、酒器
講師 久保智康 氏
1958年生まれ 福井県在住
京都国立博物館研究員を経て、現在叡山学院教授
金工品を中心とする東アジアの工芸史・考古学
主著
『沖縄の金工品関係資料調査報告書』(共著) 沖縄県教育委員会 2008年
『琉球の金工』(日本の美術533) ぎょうせい
『沖縄のガラス・玉等製品関係資料調査報告書』(共著) 沖縄県教育委員会 2011年
「琉球における祖霊信仰と山・御嶽~とくに岩・石について~」『学叢』39号京都国立博物館 2017年