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ジーンズを履いている人の、腹から太腿までを表した作品です。ジーンズと麻袋を漆で固めて作られています。
腹にある麻袋の縫い目は、深い傷跡のように見え、無数に開いた穴は銃弾を受けた跡のようにも見えます。
黒みを帯びた赤は、漆の艶と相まって、まるで流れる血で染まっているようです。
痛々しいまでに傷だらけの体は、沖縄戦からアメリカ統治を経て現在に至る、沖縄の辿ってきた歴史を表しているかのようです。そしてジーンズは、アメリカを象徴するものとして用いられています。
戦後27年間アメリカ統治下にあり、本土に復帰した後も米軍基地が残る沖縄は、否が応でもアメリカの影響が染み付いているのかもしれません。
そのような中で、沖縄のアイデンティティとは何なのかを問いかける作品です。