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【フィールドワーク】伊計島の洞穴を掘る-その2-

最終更新日:2026.01.06

※2023年から実施している伊計島の洞穴遺跡発掘レポートの続きです。
前半部分は
【フィールドワーク】伊計島の洞穴を掘る-その1-
をご覧ください。

【2025年の調査】

 

太陽が南中する昼前後には、エンジェルラダー(チンダル現象)が見られました。
 
岩棚部分のお墓の調査も大詰めです。

 
テラス上では、ホラガイの完形個体(写真奥矢印)のほかに、殻軸部の破片、殻口部の破片(写真手前矢印)も見つかりました。

 
相変わらず横穴の調査は大変です。岩の隙間に寝転んで発掘します。
 
昨年にひき続き、土器片や人骨がたくさん見つかりました。土器片の中には、テラス上から見つかった破片と接合するものもあり、テラス上にあった骨や土器を、二次的に移動して、横穴に納めたのかも知れません。

 
幼児の下顎骨と頭骨、脛骨がまとまって出土したところ。狭いところにまとめて置かれています。

 
調査最終日には、狭い岩の隙間から立派な大腿骨が見つかりました。
 
横穴から見つかった大腿骨。成人(左)と子供(右)の大腿骨が含まれていることから、複数個体が葬られていたようです。

 
今年は洞穴の入り口付近でも発掘を行いました。

 
1m四方程度の範囲を、地表下約50cmまで掘り下げて、Ⅰ~Ⅳ層まで4枚の地層を確認しました。
 

 
Ⅱ層からはイモガイの螺頭部や体層部の破片が40点ほど見つかりました。
打ち割られたものもあり、海浜部から拾ってきた打ち上げ貝を利用した貝ビーズの製作(穿孔・整形)が行われていたようです。

 
打ち割られたイモガイの破片(Ⅱ層出土)。

 
殻頂部が穿孔された破片(Ⅱ層出土)。
 
Ⅱ層からは、魚骨(鰭棘)製の骨針も見つかりました。先端部に研磨痕が見られます。
 

 
Ⅲ層からは無文の土器が見つかりました。仲原式土器でしょうか??

 
Ⅲ層からみつかったマガキガイの袖部の破片。同じ形のものがまとまって見つかっていることから、装飾品などの素材だったのかもしれませんね。

 
最下層(Ⅳ層)からは乳児の骨(尺骨)や貝輪が見つかりました。
子供のお墓があるのでしょうか?

 
Ⅳ層出土の人骨。成人の骨(左)と乳児の骨(中・右)が見られます。
 
 
Ⅳ層出土の貝輪(ウミギクガイ科)。内輪の横幅は約4cmで、子供用と思われます。

伊計島の洞穴調査では、今年も大きな成果をあげることができました。次年度も引き続き、調査を行う予定です。どんな発見があるのか、楽しみですね。
最後になりましたが、今回の調査にあたり、ご協力いただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。


 

主任学芸員 山崎真治

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