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茶色を基調とした暗い画面の中、正面を向く一人の男性が描かれています。
口を軽くすぼめ、手持ちぶさたにも見える両手の様子から、どことなく不安そうな印象を受けます。
しかし、真っ直ぐに見据える目からは、意思の強さが感じられます。
小橋川はアメリカで生まれ、幼少期は両親の故郷である沖縄で過ごし、15歳のとき再びアメリカへ渡りました。
第二次世界大戦が起こり徴兵を受けた小橋川は、アメリカ軍人として戦うことを拒み、アメリカへの忠誠も誓わなかったために収容所へ送られました。
徴兵前に美術学校に通っていた小橋川は、収容所に収監されても美術研究に励みました。この作品はその頃に描いた自画像です。
硬い表情からは、厳しい収容所生活が感じられますが、ひたむきに絵に向き合ったことが窺える作品です。