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灰色の石壁や屋根のような建造物が、複雑に重なり合うように描かれています。
その間を濃い緑色の植物が覆いかぶさるように茂っています。
画面右奥には黒い岩がいくつも転がっており、岩に上って遠くを眺めている人や、両手を上げて立つ人、座って休む人が描かれています。
この作品は、かつて那覇市北西沿岸の辻原にあった墓地群を描いています。
沖縄独特の形をした墓が連なる辻原は、珍しい景色として、戦前、県外から沖縄に来た人々が訪れる観光名所のひとつでした。
北川は1939年に沖縄を訪れ、この作品を描きました。
うねるように連なる墓の造形や、生命感あふれる植物の描写に、北川の特徴である力強い表現を見ることができます。