最終更新日:2023.02.14
本展は、沖縄の日本への「復帰」から50年という節目の年に、復帰以前から沖縄の写真を撮り続けてきた本県出身の写真家である故平良孝七氏の作品を紹介する県立博物館・美術館の企画展として、令和4年11月3日から令和5年1月15日の間、開催いたしました。
今回、新聞等でも報道されております本展について当館の考え方をお伝えいたします。
本展の第1章では、『写真集 沖縄 百万県民の苦悩と抵抗』を紹介しました。
平良孝七氏は、基地とともに生活せざるを得ない複雑な背景を持った人々に目を向け、様々な立場の人物を撮り続けた写真家であり、本展の主催者である当館の判断として、この写真集が復帰前の激動の時代を生きる人々を、個人の力では変えがたい状況に「苦悩」する様を記録したものと受けとめ、「復帰」前の緊迫した世情をより多くの世代に伝えるためには、この写真集をそのまま紹介することが重要だと考えました。
そして、キャプション(説明文)の説明のなかにも「復帰」に揺れる人々の「苦悩」がにじんでおり、同時代の「実情」が展覧会を訪れてくださる来館者の皆様にも伝わるのではないかとの考えから、本展の第1章については同写真集の複写による展示といたしました。
しかしながら、本展の開幕後、第1章の一部の写真について、現在の人権感覚からは被写体の人権がおろそかにされた写真が展示されているとのご指摘や、写真集からの複写による第1章の写真パネルをネガからのプリント写真展示に改めること等を求める要請をいただくこととなりました。
そのため、要請内容について、本展の主催者である当館において慎重に検討を行い、人権がおろそかにされているとの指摘を受けた写真については、被写体人物の人権に配慮する旨の説明を会場内において掲示し、写真のキャプション部分を覆うなど、当時の表現を尊重しつつ、展示方法を工夫する対応を行いました。その後更なる対応として第1章から写真パネル2点、ほか第3章から写真1点の取り下げを行なったところです。
当館としましては本展に関していただいた貴重なご意見を真摯に受けとめ、当館の今後の展覧会の開催や調査研究活動に活かせるよう取り組んでまいります。
今後とも、県立博物館・美術館の事業及び活動に変わりないご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
令和5年2月
沖縄県立博物館・美術館
館長 田名 真之
[参考]「復帰50 年平良孝七展」に関する要請について 【経緯】(PDF)を開く
沖縄県立博物館・美術館
TEL:098-941-8200(代表)