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貴重体験 博物館所蔵の遺物に触れる

最終更新日:2026.08.06

 

はじめに

 当館の常設展示室・考古部門展示室にはたくさんの数の考古資料が展示されています。そこには琉球列島各地の遺跡から出土した遺物を見ることができるのですが、全て展示ケースの内側に並べられており、ガラス越しに観覧者はそれらを見ることになります(写真1)。

写真1 常設展示室 考古部門展示室

 普段、博物館では目で見て学ぶことを基本にしていますが、近年では遺跡出土の遺物を直接触れることができる展示コーナーを設置している博物館も稀に見られるようになました。  
残念ながら当館常設展示室にある考古資料は触れることはかないませんが、去る7月29日に遺跡出土の遺物に触れて学ぶというコンセプトでワークショップを行いました。

1.実物に触れるというインパクト

 当館では『夏休みこどもフェスタ』と銘打って毎年7月末に、学校の自由研究などに活用してもらう目的でワークショップを各分野で開催しています。
 考古分野では当館所蔵の考古資料を実際に触れて学んでいくことコンセプトに「博物館にある遺跡から出土した陶磁器に触れてみよう」と題したワークショップを令和8年7月29日に実施しました。参加定員は8名で参加対象は小学校4年生以上、保護者同伴という条件の下で募集をかけた結果、参加定員数丁度の応募があり、当日は参加者全員が会場に集まりました。
 当館が所蔵している遺物4種類を準備し、参加者のみなさんには①土器、②陶磁器・青磁、③陶磁器・青花、④陶器、⑤瓦の順番で見て触れてもらいました。
 
※首里城跡から出土した遺物について過去の学芸員コラムにて取り上げておりますので、ご興味のある方は下記URLへアクセスしてください。
2021.02.12 おきみゅーにある首里城の考古資料を見てみよう(第2回)

http://okimu.jp/museum/column/1613087224/
 
 参加者には各遺物の見方や触る際の扱い方をレクチャーしてから遺物に触れて頂いたのですが、やはり初めての体験であったことから最初は躊躇していました(写真2)。しかし、一度触れてみると興味深く観察を始めて、その質感や重さを参加者の皆さんは実感していました。

写真2 レクチャーの様子

2.親も子も夢中になって遺物に触れる

 子どもを対象にしている今回のワークショップですが、同伴している親も興味津々で遺物に触れていたのが印象的でした。更に遺物を目の前に詳しい解説を入れたことによって、更に関心が深まったようで、親子で遺物を一つ一つ手に取って、丁寧に観察している姿が印象に残りました(写真3)。

写真3-1 遺物を見る

写真3ー2 遺物に触れる

 土器の表面がざらざらする、磁器は滑らかであるといった触感や土器や瓦は重く、磁器でも青花は薄くて軽いといった重量感などを様々な感想が会場内で飛び交いました(写真4)。
 これらのことから遺物に触れるという体験は年齢に関係無く、新たな驚きと学びが得られるということが解りました。具体的には普段使いの器に触れる時、特別に意識をしていませんが、意識付けをして触れることにより、なぜ器がこのような手触りになっていったのかを考える切っ掛けを提供できたことにあります。このように日常生活の中では出てこない疑問が湧き出すことが今回のワークショップにおける最大の狙いと言えます。

写真4 会場内の様子           

3.思っていたよりも重要な完形品                      

 遺跡から出土する遺物は基本的に破片になります。ですので、器の場合は底の部分や口部分といった断片的な部分を見て、触れていくことになります。当然ながら、器のどの部分の破片であるのかを説明していかないといけないのですが、参加者の中にはイメージが伝わっていなかったことも後で知ることが良くあります。
 今回は特別に、遺物に関係した完全な形の資料、すなわち完形品を用意してどの部分の破片になるのかをすぐに確かめることができるといった試みを行いました(写真5)。


写真5 完形資料を見る、触れる

 結果、破片がどの部分に当たるのかについてスムーズに説明することができた他、全体のフォルムを通して、時代が下るにしたがって器の形が現代使っている器に近い形になっていくことが参加者の皆さんは理解するに至りました。
 このように破片と完形品とのセットは、改めて遺跡から出土する遺物は破片が大半であること、そしてモノが時代によって変化していくことを理解していく上では有効であることを強く感じました。

4.夏休みこどもフェスタを支える人たち

 今回のワークショップはスタッフの皆さんが的確に裏で立ち回っていただいたお陰で何事もなく、終えることができました。参加されたスタッフの多くは焼物に興味を持っている方々であったことから、今回の資料を取り扱うにあたっては全く心配ありませんでした。それに加えて参加者に対する誘導や注意事項の伝達など、様々な場面でサポートを賜りました。この場を借りてスタッフの皆様に御礼を申し上げると共に、とても良い雰囲気の中で今回のワークショップが実施できたのはこのような下支えがあったからこそだと感じております。
 以上のようにとても良い経験をさせていただきましたのでまた、いつの日か機会があればこのような実際に遺物に触れてみるといったワークショップが実施できたらと思っております。
                                       (おわり)                                               

主任学芸員 山本正昭

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