はじめに
当館では年度はじめに行われる博物館の展示会は毎年、決まっています。それは前年度に当館へ寄贈を受けた博物館資料を一斉にお披露目をする『新収蔵品展』になります(写真1)。開催時期は概ね4月後半から6月前半にかけて実施しており、令和8年度開催の『令和7年度新収蔵品展』については5月12日~6月21日に実施することが決定しています。毎年3月後半~4月にかけては新たに寄贈された資料や新たに購入、製作した資料、資料調査で採集した資料といった新収蔵資料の登録と展示に向けて準備をしていく時期になります。
今回は3回に分けて『新収蔵品展』について触れていこうと思います。
写真1 昨年に実施された新収蔵品展の様子
1.寄贈後から展示に至るまで
寄贈された資料の中にはカビや害虫が付着している場合が往々にしてあります。それは目に見えない微細なものもあるため、一見して問題が無いと思われる資料についても燻蒸という、密閉空間に薬剤を投与してカビや害虫を駆除するための作業を行います。この燻蒸作業を怠ると保管先の収蔵庫内で他の収蔵資料にカビ、害虫被害が広がってしまうことから、避けては通ることができない作業になります。
そして、新たな収蔵資料として登録作業へと入っていくことになります。登録作業そのものはとくに大変な作業ではありませんが、データーベースに載せる寄贈資料の写真撮影が大きな仕事となります。様々な資料が毎年、寄贈されることからその資料の性質を踏まえて全容が一目で分かる写真が求められます(写真2)。
写真2 新たに収蔵された資料撮影の様子
登録の次に新収蔵資料の展示を行うにあたって、その資料的価値を来館者に理解していただくに当たり、学芸員はその情報を分かりやすくまとめてキャプション、またはパネルで表示していく作業があります。加えて20ページ前後の簡単な図録を毎年作成しており(写真3)、それに合わせた新収蔵品リストの作成や掲載写真の選定、掲載のレイアウトを行います。
完成した図録については新収蔵品展開催にあわせて寄贈者や観覧者に配布しています。
写真3 新収蔵品展の図録
最後に新収蔵品展に向けて図録の作成や寄贈者へのお礼状と共に展示会初日の開会式への招待状を送付します。更に寄贈者を代表して数名の方に開会式(写真4)のテープカットをお願いすることもあります。
以上のように、寄贈資料の受け入れから、一般の方々へお披露目されるまでにいくつもの手続きを経ていることが解っていただけたかと思います。
写真4 昨年の新収蔵品展開会式の様子
2.受け入れ限界のある資料
一般的には沖縄県民のために何か役立てていただきたいというのが主な寄贈の理由になります。しかし、中には過去に何となく肉親や知り合いから貰ったもの、または過去に採集したものの、それらが何か分からないので貴重なものであれば寄贈したいという方や貴重なものではあることは分かっているが将来的に保管し続けることが困難なので寄贈したいという方、当館学芸員によってより詳細な資料の調査をしていただきたいので寄贈したいという方などその動機は様々です。
また、私設の展示施設が閉館するのに伴って所蔵している資料の行き先が不透明なものについても、資料の散逸を防ぐために一括での寄贈をお願いすることもあります。
このような形で当館への寄贈がこれまでに多くあったことから、収蔵庫の収納スペースが現在では飽和状態にあります。とくに大型資料の受け入れはどうしても収納スペースに限界があります。この課題は当館のみならず各地の博物館や美術館で抱えている共通の課題となっています。
これらを踏まえると貴重な資料であるからといって全てを受け入れているわけではなく、博物館の現状に合わせて寄贈を受け入れているという、現実的な問題が横たわっていると言えます。
(次回へつづく)
◎令和6年度 新収蔵品展について
昨年度に実施しました『令和6年度 新収蔵品展』の概要については下記のURLにて紹介しておりますので、気になる方は是非ご覧ください。
http://okimu.jp/exhibition/2025newcollection/
主任学芸員 山本正昭