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【フィールドワーク】伊江島の洞穴調査

最終更新日:2026.03.13

今回のコラムでは、3月上旬に実施した伊江島の洞穴調査のようすについてご紹介します。

伊江島
伊江島といえば、島の中央にそびえるタッチュー(城山/ぐすくやま)が有名ですね。
標高は約170m、円錐形のチャートの岩山です。


伊江島は東西約8km、南北約3.5kmの落花生のような形をした低平な石灰岩の島で、
面積は約23㎢、人口は約4200人だそうです。

漁港内に係留してある漁船のすぐそばでもサンゴが生育
伊江島近海の海は透明度が高く、漁港内に係留してある漁船のすぐそばでもサンゴが生育していました。

立派な資料館(郷土資料館、平和資料館)もあります
フェリーターミナルに近接して、立派な資料館(郷土資料館、平和資料館)もあります。
ゴホウラのモニュメントがユニークですね!
来島の際には、ぜひお立ち寄りください。

具志原貝塚(国指定史跡)
資料館の裏手には、具志原貝塚(国指定史跡)があります。
この遺跡は、貝塚時代後期(約2500~1000年前)を代表する遺跡で、
沖縄で初めて弥生土器が発見されたことでも知られています。

現在でもシャコガイやイモガイなどが散らばっている
海岸砂丘上に営まれたサンゴ礁性の貝塚で、
現在でもシャコガイやイモガイなどが散らばっているのが見られます。
(※写真の貝が露出している箇所は史跡指定地外です)

人骨
今回の現地調査の課題の一つは、人骨です。伊江島の洞穴で採集され、
教育委員会に持ち込まれたとのこと(伊江村教育委員会保管)。
戦争遺骨の可能性があるのではないだろうか?ということでしたが、
かなり小柄な人の骨で、成人の骨を中心に、幼児の骨も混じっているようです。
すこし赤みがかった土が付着していて、保存状態が非常に良いですね。

下顎骨
下顎骨。切歯(前歯)が欠損していて、歯槽(しそう)の穴も閉鎖しているので(矢印部分)、高齢者か、あるいは抜歯(註)の可能性もありそうです。

(註)抜歯とは?
沖縄の貝塚時代では、意図的に正常な歯を抜去する風習がありました。成人儀礼や婚姻儀礼など、さまざまな意味合いがあったようです。沖縄では特に、切歯(前歯)の抜歯事例が比較的多くみられます。

人骨が採集されたという洞穴の現地
村の担当者の案内で、人骨が採集されたという洞穴の現地を訪ねてみました。
道路脇に開口していて、人の出入りがあるようです(矢印部分)。


洞穴の内部。
入り口付近の洞床は落ち葉で覆われていました。
比較的規模が大きく、乾燥した洞穴で、利用しやすそうですね。
壁面や天井の鍾乳石はかなり風化しています。

洞穴内部を確認
村の担当者Tさんと洞穴内部を確認します。

遺骨収集の途中だったのでしょうか
骨はビニール袋に入った状態で、この場所に置かれていたようです。
遺骨収集の途中だったのでしょうか・・・?
(土地所有者の許可なく戦争遺骨を収集することはできません)

頭骨片
現地にはまだ頭骨片(写真中央)や細かな骨片が残されていました。

洞穴の奥
洞穴の奥は、土砂が流入してかなり埋没していました。

シャコガイ(上左)や大腿骨(上右:矢印部分)、 頭骨(下:矢印部分)
別の地点ではシャコガイ(上左)や大腿骨(上右:矢印部分)、
頭骨(下:矢印部分)なども見つかりました。石灰分で固結化したものも見られ、
かなり年代を経たもののように思われます。
人骨の年代については、ひきつづき調査を継続していく予定です。

シカ類の化石
岩に付着した状態のシカ類の化石もみつかりました。数万年前のものと思われます。
伊江島ではカダ原洞穴やゴヘズ洞穴など、絶滅シカ類化石の産地も多く知られていることから、
この洞穴の周辺にも、シカ類がたくさん生息していたようですね。
(左下は、おきみゅーの博物館常設展に展示されているリュウキュウジカ骨格模型)

湧出(ワジー)海岸の絶景
島の北部、湧出(ワジー)海岸の絶景。
断崖の下に湧水点があり(矢印部分)、古くから人々によって利用されてきました。
今回の調査のもう一つの課題は、この近くにあるという洞穴を探すことでした。

まだ見ぬ洞穴を探し求めて
まだ見ぬ洞穴を探し求めて、原野をさまよいます。
(水平線の向こうには伊是名島が見えています)

いい感じの岩陰
いい感じの岩陰にたどりつきました。人工的に岩を掘りくぼめた形跡があり、
お墓として利用されていたようです(写真中央は全天球カメラ)。

険しい岩場
すばらしい絶景の中、険しい岩場を進みます。ハブにも気をつけて!

小さな岩穴
小さな岩穴がありました。中はどうなっているのでしょうか。。。

穴の中は土砂で埋まっていました
穴の中は土砂で埋まっていました。特に何もないようですね。。。

なんとか脱出
アダンの藪を抜けて、なんとか脱出することができました!
探していた洞穴にはたどりつけませんでしたが、またチャレンジしてみたいと思います。

ニィヤティヤガマ
伊江島南海岸の名所となっているニィヤティヤガマ。
大規模な海蝕洞で、多くの命を戦禍から守ったことから「千人ガマ」とも呼ばれています。
今回、伊江村教育委員会のご厚意で、この洞穴の3D計測を実施することができました。

ニィヤティヤガマへのアプローチ
ニィヤティヤガマへのアプローチ。

海蝕洞
階段を下りると大規模な海蝕洞がひろがっています。
(写真中央は3D計測の機材です)

海側にも開口部が
海側にも開口部があり、潮があがってくることもあるようです。
洞床にはきれいな白砂が堆積しています。

3D計測データにもとづく平面図・側面図

3D計測データにもとづく平面図・側面図

伊江島の洞穴調査、いかがだったでしょうか?
期間中は晴天に恵まれ、充実した調査を実施することができました。
伊江島には戦争遺跡も含め、洞穴がたくさん分布していることから、
今後、古代の遺物や人骨の発見も期待できそうです。
今後の調査研究にぜひご期待ください!

今回の調査にあたり、ご協力いただいた伊江村教育委員会の皆様には、
心より感謝申し上げます。

主任学芸員 山崎真治

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