
最終更新日:2025.12.04
今年もサキタリ洞遺跡の発掘調査のシーズンがやってきました!
沖縄県立博物館・美術館では、国立科学博物館、株式会社南都(おきなわワールド ガンガラーの谷)、南城市教育委員会のご協力を得て、2025年11月17日~30日の日程で、約2週間の発掘調査を行うとともに、11月29日(土)には、現地見学会を開催し、約100名の皆様にご参加いただきました。関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
2025年11月のサキタリ洞遺跡(東側洞口)
サキタリ洞遺跡の平面図・断面図
調査区Ⅱ
調査区Ⅱ(洞外)では、今年度の調査で近代~グスク時代の地層を確認ました。ウシ骨を伴う石敷遺構(SX23)や、保存の良いグスク土器(11~12世紀頃)などが発見され、グスク時代開始期におけるサキタリ洞遺跡の利用状況について、新たな知見を得ることができました。
調査区Ⅱ(洞外)の調査のようす
グスク時代の石敷遺構(SX23)。赤丸はウシ下顎骨の出土地点。
出土したグスク土器(11~12世紀頃)
調査区Ⅱ(洞内)では、約9000年前の地層の掘り下げ作業を行いました。この地点では、以前の調査で確認されていた約9000年前の土器の追加資料やイノシシの骨、ヤコウガイの蓋などが見つかりました。
調査区Ⅱ(洞内)の調査のようす
ヤコウガイの蓋の出土状況
9000年前の土器はとても脆いので、接着剤で固めてとりあげます(矢印部分)。
土器片の下に竹串をさしこんで地面から切り離しているところです。
調査区Ⅰ
調査区Ⅰでは、約2万4000年前以前の地層の発掘作業を行いました。これまでの調査で炉跡と考えられる焼土面や炭化物集中などが確認されており、地層中からはモクズガニの爪やカワニナ、炭化物などが点々と発見されています。
調査区Ⅰの発掘調査のようす
調査区Ⅳ
西側洞口外の調査区Ⅳでは、約5500年前頃のものと思われる炉跡や、さらに古い時代の堆積層が確認されています。今年度の調査では、追加の土器片やカニ、カワニナの遺骸等が検出されました。
今年度の調査成果と現地見学会のようす
今年度の発掘調査では、旧石器時代や縄文時代(貝塚時代)、グスク時代に関する新たな発見がありました。特に、2万4000年前以前の地層からカニやカワニナを含む動物遺体が発見されたこと、約9000年前地層から、追加の土器や動物遺体、貝類が発見されたこと、グスク時代の地層から石敷遺構や保存の良い土器片、獣骨(ウシ)が発見されたことは、注目されます。
こうした成果を踏まえて開催した11月29日(土)の現地見学会では、多くの皆様に発掘調査の様子を見学していただくことができました。また、解説についての質問等も多く寄せられ、関心の高さをうかがうことができました。今後も発掘調査を継続するとともに、このようなイベントを開催していきますので、ぜひ現地に足をお運びいただければと思います。
主任学芸員 山崎真治