最終更新日:2022.01.12
展示室の入り口から「うぉぉぉぉ」「うわぁぁぁぁ」と、歓声とも悲鳴ともつかない声が響きます。そこに展示されているのは「世界の大型かたつむり」(写真)。奥へ進むと「ふむふむ」「へぇー」と大人たちが展示物に見入っています。その周りで「でーんでーん、むーしむし」と口ずさむ子供たち。これは、開催中の「ゆる~い かたつむり展」のひとコマです。
(写真:世界の大型かたつむり)
今回の展覧会は「かたつむり」づくし。しかも、ただ貝殻を並べただけではありません。展示されているのは「かたつむりリアルフィギュア」。本物の殻に樹脂で造形した軟体部をつけたオリジナルフィギュアです(写真)。「かたつむり」は、すぐに体を引っ込めてしまうので、生きた姿のまま標本にできません。つまり、リアルフィギュアは画期的な展示物なのです。
(写真:リアルフィギュア)
これらのフィギュアを製作したのは、京都でご活躍の造形作家、河野甲さん。本業は皮革造形で、数々の芸術作品を手掛けておられます。その傍ら、日本中で「かたつむり」を採集し、その殻で造作したリアルフィギュアはすでに600点以上。殻の外から透けて見える軟体部の色まで再現されたそのフィギュアたちは今にも動き出しそうです(写真:アオミオカタニシ)。このフィギュアたち、普段はご自宅を改装した私設博物館「かたつむりミュージアム ラセン館」で展示されていますが、今回の展覧会のためにはるばる沖縄へやってきました。
(写真:アオミオカタニシ(殻を透けて見える軟体部の色まで再現)
展示の中では、「かたつむり」の興味深い生態も紹介します。大人から子どもまで、誰にでも分かりやすく作られたパネルを読めば、知っているようで知らなかった「かたつむり」の秘密が楽しく学べる展示となっています。
(写真:かたつむりのなぞにせまる)
展示の目玉は、日本各地の「ご当地かたつむり」たちのリアルフィギュア約500点(写真上)。1つひとつ違った表情があり、河野さんの観察力や造形作家としての表現力、そして「かたつむり」愛が目いっぱい詰まっています。他にも「かたつむり」をモチーフにした工芸品や絵画なども展示しています(写真下)。沖縄の身近な「かたつむり」たちの展示コーナーも設けましたので、観覧後は「かたつむり」を探しに行きたくなること間違いなし。小さな展覧会ですが、「かたつむり」について学びと驚きがいっぱいの充実した展示となっていますので、ぜひ足をお運びください!
(写真下:日本各地のかたつむりたち、工芸品)
名称:「ゆる~い かたつむり展 -ラセンに秘められた沢山の不思議-」
場所:沖縄県立博物館・美術館 3階 特別展示室2
会期:令和3年12月21日~令和4年2月15日
詳細はこちら↓↓↓↓
https://okimu.jp/exhibition/snails/
詳細はこちら↓↓↓↓
https://rasenkan.com
主任学芸員 菊川 章