1. 展示ができるまで③―本格始動した展示の準備―

展示ができるまで③―本格始動した展示の準備―

最終更新日:2021.11.29

色々ある展示室での作業

内容検討の様子

前回から紹介している特集展『中城村のグスク―中城グスクと新垣グスク-』(会期:令和3年11月30日~令和4年1月10日)の展示準備について、今回は展示室内での展示作業を中心に紹介していきたいと思います。
 今回の特集展は昨年度末から打ち合わせを何度も重ねて、内容を決めていきましたが、いざ展示作業に取り掛かるとなると、思っていたイメージとは異なることはよくあります。それは展示パネルや展示キャプションの配置や展示資料の並べ方、展示資料への照明の当て方といったように挙げて行けばキリがありません。中でも展示パネルについてはその内容やデザイン、どのような並びで配置するのか、といったように細かいことを一つ一つ地道に決めていかなければなりません。
(写真1:これらから展示を行う歴史部門展示室)

悪戦苦闘!展示パネルの設置

エントランスでの展示打ち合わせ

展示資料を設置する前に展示パネルを適切な位置に設置しなければなりません。今回は展示パネルが膨大な数に上ることから、展示パネルをどのような形で置くのかを工夫しなければなりません。主に展示ケース内で壁にかける展示パネルと展示ケースの床面に置く展示パネルに分けなければなりません。そして次に展示パネルの間隔や設置する高さも観覧者がストレス無く観覧できるように設置しなければなりません。
 こうしてみると、展示パネルを設置するだけでも決めていくべきことがたくさんあります。また、展示資料の配置についても同様に設置していくために見やすく、そして展示パネルとの前後関係などを見計らって陳列していくことになり、それは大変、気の遣う作業になります。
(写真2:パネル写真の印刷)

 

原寸大の鍛冶場模型を魅せる!

展示予定のアオウミガメ剥製標本(進化展での展示状況)
 展示予定のアオウミガメ剥製標本(進化展での展示状況)

今回の展示資料の中で最も設置について考えないといけないのが、中城グスクから検出された鍛冶場跡を再現した原寸大模型になります。原寸大なので展示室内でのスペースを最も多く取り、かつ展示ケース内で組み立てて、観覧者に見える角度に微調整していく必要があります。更に鍛冶場で使っていた道具の一部である鞴の羽口については、発掘調査で出土した実物を使った形で再現しているので、慎重に組み立てていかなければなりません。
 また一度、仮設置して場所と見せ方を確認した後に再度設置していくので、今回の展示の中で最も手間がかかる展示になります。
 当時において中城グスク内でどのようなことが行われていたのかを観覧者にできるだけイメージできることを目的に、原寸大の鍛冶場模型を設置していますが、そのためには様々な工夫を凝らすことに展示関係者は日々、労力を割いています。
 次回は展示が完成するまでについて紹介していきたいと思います。
(写真3:原寸大の鍛冶場模型組み立て作業)
(写真4:写真4 展示ケース内での仮設置作業)


 

 

主任学芸員 山本正昭

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