サキタリ洞むかしばなし(秋) 平成28年11月15日から始まった特別展「港川人の時代とその後―琉球弧をめぐる人類史の起源と展開」。我らがサキタリ洞遺跡の調査成果を中心に、世界の人類学、日本各地の旧石器時代の重要発見、そして縄文時代への移り変わりを、数々の資料によって紹介しています。
世界最古(2万3千年前)の釣り針がどうしたって気になりますが、3万年前の幼児骨や9000年前以前の人骨(復元中の頭骨)、それに白保竿根田原洞穴遺跡の頭骨など、初公開資料が目白押しです。他にも県外から借用した貴重資料がたくさんあり、目移りしてしまいます。
いろいろ見て疲れたら、アニメ「サキタリ洞むかしばなし」をご覧になって一息いれましょう。サキタリ洞の発掘調査成果に基づいて、ち密な分析と大胆な想像力を働かせ、謎に包まれていた沖縄旧石器人の暮らしぶりを、見事に描きだしています。シナリオを書いた本人が言うのだから、間違いありません。
その大胆なシナリオを、沖縄県立芸術大学を卒業されて数々の賞を受賞されている若手作家の大城愛香さん(
https://www.aikaosmile.com/)が、愛らしいアニメに仕立ててくれました。
第一話では、サシバがピックィーと秋の訪れを告げるころ、「おっとう、おいらカニ食いてえ」「おっとうも、カニ食いてえ」と、旧石器人の親子が洞窟へ赴きます。洞窟のモデルはもちろんサキタリ洞で、彼らがカニ獲りにいく川は、雄樋川です。細部のこだわりも、見逃せません。親子の胸元を貝ビーズが飾り、当時いただろうイシカワガエルやアオバズクの姿があり、アオガエルやコノハズクの声が聞こえます。
第二話では、釣り針をつくって川でウナギ釣り。釣り針は、もちろんサキタリ洞の出土品をモデルに、ヒモのくくり方はポリネシアの民俗事例を参考にしました。釣竿があったかどうかわからないので、なくても釣れる方法で物語は進みます。果たしてオオウナギは、釣れるでしょうか?
そして、最後には感動の(?)エピローグ。 旧石器人が何やら困り果てています。彼らの悲しいまなざしに、いったい私たちはどう応えればよいのでしょうか?
さあ、エピローグが気になった方、今すぐ会場へGo!
特別展「港川人の時代とその後」は、平成29年1月15日まで開催中。見逃せないぜ!
主任 藤田祐樹