パスポートの話

最終更新日:2014.02.27

日本渡航証明書 (沖縄→日本本土用)

日本渡航証明書
(沖縄→日本本土用)

身分証明書 (沖縄→外国用)

身分証明書
(沖縄→外国用)

身分証明書 (日本本土→沖縄用)

身分証明書
(日本本土→沖縄用)

本土復帰前の沖縄では、本土へ行くためにもパスポートが必要だったってことはよく知られています。おじいちゃんやおばあちゃんに聞くと「日本渡航証明書」と書かれた小豆色のパスポートを持っているかもしれません。でも、パスポートってこれ意外の種類もあったことを知っていますか?日本以外の外国へ行く場合には「身分証明書 旅券に代わり発行」と書かれた深緑色のパスポートが必要だったんです。どちらも、アメリカ合衆国の出先機関である琉球列島米国民政府(USCAR:ユースカー)に申請して発給されましたが、アメリカの沖縄統治を批判する人には発給を遅らせたり、発給されなかったこともありました。逆に本土から沖縄に来る時には日本政府の総理府(今の内閣府)が発行する身分証明書が必要でした。今でもそうですが、日本から外国へ行く時には外務省が旅券(パスポート)を発行するのが普通でしたから、沖縄は日本でも外国でもない特殊な地域だったことがこのことからもわかりますね。しかも、旅券とは別に、米国民政府の東京出張所で入国査証(ビザ)に相当する「入域許可書」を受けなければなりませんでしたが、ここでも沖縄の復帰運動を支援する人などに対しては許可書が出されないこともあったんです。

沖縄が復帰したあとは本土へも外国へも自由に行けるようになりました。最近はLCCも運行して、あの頃に比べると旅行のハードルはかなり下がってきていることだし、久しぶりに海外にでも行きたいなぁ~。

主任学芸員 岸本弘人

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