最終更新日:2013.11.27
現在、当館の博物館常設展示内にある「歴史部門展示室」では、「琉球王国時代の古地図展」を開催しています。琉球王国時代(約15~19世紀)に相当する時期に、日本、朝鮮、中国、ヨーロッパ、そして琉球・・・と国内外の各地で製作された地図の一部を展示していますが、沖縄島ひとつ例にしても実にバリエーションに富んだ形で描かれていることに気づきます。沖縄島が何かの生き物のようにみえるもの、ただの丸で表現されているものがあるかと思うと、現代の地図と比べても遜色のない島の形にビックリするようなものもあります。
単純に制作年代の差や製作場所の違いだけでなく、「だれが何の目的で製作したのか」、「どんな情報をもとに製作したか」などを探ることによって、当時の人々の情報源や情報網が地図を通して浮かび上がってきます。また、当時の人々が知りえた事柄をひも解くことにより、歴史資料としての重要さも高まります。
近年、琉球の地図研究は躍進を続け、測量術の解明も進められています。しかし、まだまだたくさんの謎も残されています。11月初頭に開催された「伊能図フロア展」(主催:琉球新報社、於:県立武道館アリーナ、11月6日~11日)で初めて一般公開された尚財団蔵「琉球国之図」は、様々な情報を与えてくれました。今後、さらなる解明がなされるものと期待が膨らみます。 当館での展示は来年1月13日(月・祝)まで開催しています。ぜひ足をお運びいただき、これを機会にあなたも古地図ファンになりませんか?
主任学芸員 崎原恭子